・出展:環境汚染問題 私たちと子どもたちの未来のために
http://www.maroon.dti.ne.jp/bandaikw/
・2-エチルヘキシルアクリル酸及びプロピレン炭酸塩、四級アンモニウム化合物、トリグ
リシジルイソシアヌル酸、トリプロピレングリコールジアクリル酸の毒物学評価と許容値
(4級アンモニウム化合物陽イオン表面活性剤)被ばくによる健康への
危険に関する評価および空中許容量の評価
インゲル=トールップ著Inger Thorup
食品安全性毒物学研究所
デンマーク獣医食品局
1.一般的記述
1.1 同定
4 級アンモニウム化合物(QACs)は陽イオン表面活性剤である。
有機的に四置換アンモニウム化合物で、ここでR 置換基はアルキルや異環式ラジカルである。
これらの合成化合物の共通の性質は一つの長鎖の疎水性のアルキル基を持つことである。技術分野で用いられる製品は通常異なるここの化合物ではなく同族体の混合物であり、分子の親油性の部分の平均鎖長と鎖長の分布は使用された最初の材料によって変化するだろう。
最もよく調べられた化合物は塩化ベンザルコニウムである。
1988 年に、毒性研究が検査のために各グループから1 種類の代表的なものを選ぶことによって促進されるように、EPAはQACsを4つのグループにまとめた(Merianos 1991).
下に4グループのそれぞれの代表の構造式を示す。
グループ1:直鎖アルキルまたはハイドロキシアルキルQACs
(例えば、CAS no.124-03-8、臭化ヘキサデシルエーテルジメチルアンモニウム;CAS no.、臭化テトラデシ1119-97-7 ルトリメチルアンモニウム;CAS no. 57-09-0、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム;CAS no. 112-03-8、臭化オクタデシルトリメチルアンモニウム;CAS no. 1120-02-1、臭化オクタデシルトリメチルアンモニウムCAS no. 1119-94-4、
臭化ドデシルトリメチルアンモニウム
臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB)
グループⅡ:アルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物
(例えばCAS no. 139-08-2、塩化テトラデシルジメチルアンモニウム(塩化ベンザルコニウム);(CAS no. 122-18-9、塩化ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウム)塩化テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム(塩化ベンザルコニウム)
グループⅢ:アルキル[ジ-及びトリ- クロルベンジル]ジメチルアンモニウム化合物
塩化テトラデシルジメチルジクロロベンジルアンモニウム
グループ4:異環式アンモニウム化合物
塩化1-ヘキサデシルピリジニウム(塩化セチルピリジニウム)
1.2 物理・化学的性質
QACs は白色結晶の粉末である。
低分子量のQACs は水に非常に良く溶けるが、エーテルや石油、ベンゼンのような溶剤にはわずかに溶けるか全く溶けない。
分子量と鎖長が増えるにつれ、極性溶剤(例えば水)中への溶解度は減少し、非極性溶剤中の溶解度は増加する。
参考文献:Gloxhuber (1974), Gosselin (1984), Kirk-Othmer (1985), Merianos (1991).
1.3 生産と使用
QACs はハロゲン化アルキル又は他のアルキル化種で四級アミンをアルキル化することによって産業的に合成される。
QACs は消毒薬や殺細菌剤、殺菌剤、消毒剤、柔軟剤として使われるが、脱臭剤と毛髪用化粧品でコンデショナーとして使われる。
この化合物は通常0.01%から1%濃度で化粧品に使われる。
低い濃度は局所消毒薬(皮膚、結膜、粘膜)として医薬品に使われる。
塩化ベンザルコニウムは眼科用及び鼻用の溶液に一般的に使われる保存剤である。
一般に殺菌剤などの領域内のQACs は良い抗菌活性を示すのでC8 からC16 の範囲のアルキル鎖長を含む。
柔軟剤とヘアコンデショーナーとしての使用のためにC16 とC18 の鎖長が使われる。
QACs は中性又は弱アルカリ性のpH で微生物に対して最も有効であり、pH3.5 より下で事実上不活性になる。
QACs は石けんのような陰イオン系洗剤と不適合であり、非イオン系表面活性剤と高度の結合を示す。
参考文献:Gosselin (1984), Kirk-Othmer (1985), Merianos (1991), MST (1991).
1.4 環境中での出現
QACs は合成化合物であり、そのため天然に出現しない化合物である。
欧州と米国で下水処理工場の流入水で1-5 mg QACs/リットルのレベルが測定されている
1.5 環境中での運命
QACs の大部分は廃水に流出し、下水処理工場の生物処理で除去される。汚泥の水相中のQACs の90%減少が報告されており、アルキルジ-/トリメチルアンモニウム及びアルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物は下水汚泥中で完全に分解されると思われる。
しかし、QACs の好気的及び嫌気的生分解は良く研究されていない。
極まばらなデータのみが安定性や溶解性・生物分解性に関して利用できる。
一般に、生物分解性はアルキル鎖数の増加と共に減少するR(CH3)3N+ > R2(CH3)2N+ > R3(CH3)N+ 。
それぞれの種類内で、生物分解性はアルキル鎖長に反比例すると思われる。
異環式QACs は非環式よりも分解されにくい。
研究は相当の大きさの生物濃縮はおそらく起こらない事を示している(MST 1991)。
1.6 人間の被ばく
一般人は消毒剤やヘアコンデショナー、織物柔軟剤での使用を通じ直接に、食品接触面をクリーンにするための使用により食品を通じて間接的にQACsに曝される。