パーキンソン病と農薬6 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・農薬被ばく期間と発症
 
ワシントン大学のエンジェラらのグループは、ワシントン州で主に果樹栽培に従事している男性労働者で農薬への職業被ばくとパーキンソン病のリスクとを調べた。

調査対象は310人で、平均年齢は69.6才であり、そのうち238人は農薬に何らかの職業被ばくをしていた。

この調査でパーキンソン病は、パーキンソン病の治療薬を投与されていない人では安静時振戦、固縮・動作緩慢・姿勢反射障害のうち2つ以上が見られる場合、治療薬を投与されている場合はすくなくとも1つが見られる場合をパーキンソン症候群であると定義した (19)。
 
農薬被ばく期間によって3つのグループに分けた場合、最も被ばく期間が長いグループでは、パーキンソン症候群の罹患率比は2倍であり、中のグループは罹患率は増加したが(1.9)有意ではなかった。

この研究では特定の農薬や農薬グループ、農業従事歴、井戸水使用との関連は見られなかった (19)。
 
 
除草剤・殺虫剤
 
デトロイトの50才以上の男女で農薬被ばくや農業・井戸水使用・田舎生活をパーキンソン病のリスク因子として調べた研究がある (12)。

パーキンソン病患者は114人で、年齢や人種・性をマッチさせた対照は464人であった。
 
喫煙などを調整した場合、除草剤(オッズ比4.10)と殺虫剤(オッズ比3.55)への職業被ばくとパーキンソン病の有意な関連があったが、殺菌剤との関連はなかった。

職業としての農業とパーキンソン病との有意な関連があった(オッズ比2.79)が、農業地帯で住むことと井戸水使用とはリスクを増加させない。
 
有機塩素剤との関連
 
マイアミ大学医学部のフレミング Flemingらのグループ (1994)は、パーキンソン病患者とアルツハイマー病患者・神経学的な病気のない人で、脳の中の有機塩素系農薬を調べた (13)。

パーキンソン病患者では、デルドリンが有意に多く検出されている。

デルドリンは残留性の強い、ミトコンドリア毒であるので、パーキンソン病の潜在的な原因として調査する必要があると、著者らは考えている。
 
英国のコリガンCorriganらのグループ (1998) はパーキンソン病を患って死亡した人の脳組織(尾状核)で、対照より高い濃度のデルドリンやPCBを検出し、これらの物質がパーキンソン病と関連することを示唆した (14)。
 
殺虫剤・除草剤・田舎居住
 
オレゴン保健科学大学Oregon Health Sciences UniversityのバターフィールドButterfieldら(1993)は若年発症(50才以前)のパーキンソン病のリスク因子を調べた。

63人の若年発症パーキンソン病患者と、68人の対照(リューマチ性関節炎患者)で症例対照研究を行った (15)。

この結果、若年性パーキンソン病と有意な関係を示したものには、殺虫剤被ばく(オッズ比 5.75)、燻蒸された家に過去に住んでいたこと(5.25)、除草剤被ばく(3.22)、診断時の田舎居住(2.72)、診断前10年間の木の実や種子食(1.49)があった。  
 
農薬・木材防腐剤・アマルガム充填
 
症例対照研究で、農業活動や農薬被ばく・井戸水飲料・動物との接触のような田舎の因子、木材保存剤や重金属・溶媒のような毒物被ばく、全身麻酔、頭部外傷、子宮内環境の違いに関してパーキンソン病との病因的関連を調べた。

ドイツの9か所の診療所で380人の患者と379人の近所対照者、このような因子を研究している大規模症例対照研究の376人の地域の対照者で、インタビューをしてデータを得た。

教育状態と喫煙をコントロールした。
 
喫煙はパーキンソン病と強い逆の関連があった。

農薬使用、特に有機塩素とアルキル化燐酸に関してオッズ比が有意に高かったが、ほかの田舎因子との間に関連はなかった。

木材防腐剤被ばくに関して有意に高いオッズ比の上昇があった。

発端者による主観的評価では、一部の重金属や溶剤・排気ガス・一酸化炭素は、対照や患者で頻度が有意に高かったが、職歴の平行した評価によって確認されなかった。

対照より患者は全身麻酔と重度の頭部外傷が多かったが、両応答勾配はなかった。

対照より患者は病気の前に有意に多く歯にアマルガムを充填していた。

早産と出生順序は患者と対照で差がなかった。

対照より患者は有意に多いPDに罹患した親戚を持っていた。

これらの結果はパーキンソンの病因で環境と遺伝因子の役割を支持した。