ELF 磁界は、電流が流れるところに常に存在します。
ELF 磁界は、ほとんど減衰することなく人体を貫通します。
いくつかの疫学研究は、ELF 磁界とがん、特に小児がんとの関連を報告していますが、その他の研究は報告していません。
国際電磁界プロジェクトによって監視と推進を受けているものも含め、低レベル(環境レベル)のELF 磁界の影響に関する研究は現在進行中です。
静電界および静磁界。
これらの電界および磁界によって生体に起こる主な作用は電荷や電流の誘導ですが、この他に、非常に高い強度においてのみ、健康にとって有害となる可能性がある影響が起きることは確立されています。
静電界は人体へ浸透しませんが、皮膚の毛が動くことにより感知されます。
強力な静電界による放電を除いて、静電界には明らかな健康影響はないと考えられます。
静磁界の人体の内部の強度は外部の強度と実質的に同じです。
非常に強い静磁界は血流を変化させ、正常な神経インパルスに変化を与えます。
しかし、日常生活ではこの様な強い磁界強度は見当たりません。
しかし、労働環境レベルの静磁界への長期ばく露の影響については知識が不十分です。
安全基準。電磁界への人体ばく露が健康への有害な影響をもたらさないこと、人工的な電磁界を発生する機器が安全で、かつその使用が他の機器と電磁干渉しないことを確保するために、種々の国際的ガイドラインと基準が採用されています。
これらの基準は、科学者グループがあらゆる科学文献のレビューを行った後に作成されます。
このレビューで科学者グループは健康にとって有害となるような影響が一貫性をもって再現されることを示す証拠を探します。
その次に、これらの科学者グループは国際組織あるいは各国組織がとる行動基準のためのガイドラインを推奨します。
非電離放射線防護の領域で、WHO により公式に認められた非政府組織が、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)です。
ICNIRP は、紫外線、可視光、赤外線、RF 電磁界およびマイクロ波を含むすべての電磁界に関して人体ばく露制限の国際的ガイドラインを確立しています。
電磁波は自然現象によっても発生しますが、大部分は人工的発生源によるものです。電磁スペクトラムは電離および非電離放射線(NIR)の両方を含みます。
電離放射線(エックス線とガンマ線)は、細胞内の分子を結合させている原子結合を破壊することによって、プラスやマイナスに荷電した、原子または分離した分子を生成するのに十分なエネルギーを持っています。
この作用を電離(イオン化)と呼びます。
非電離放射線はどんなに強くとも生体で電離作用を起こしません。
しかし、組織における熱の発生、化学反応の変化、電流の誘導などにより生物学的影響を生じることは分かっています。
WHO 国際電磁界プロジェクトは、静的、超低周波(ELF)、中間周波(IF)、無線周波(RF)の電磁界(0-300 ギガヘルツ)の健康影響を取り扱っています。
周波数の異なる電磁波は、細胞、植物、動物、ヒトなどの生体と、それぞれ異なった相互作用をします。電磁波が生体に与える影響の程度は、ある部分では電磁界強度で、またある部分では光子エネルギー量によって決まります。
電磁波により生じる生物学的影響は、必ずではありませんが、時には健康への有害な影響につながる可能性があります。