・出展:環境汚染問題 私たちと子どもたちの未来のために
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イミダクロプリド
2010年12月5日
渡部和男
概要
イミダクロプリドは1992 年に農薬登録された、まだ使用経験が短い殺虫剤である。
その安全性(毒性)を評価するためには、経験と研究が不十分である。
イミダクロプリドはニコチン性アセチルコリン受容体に作用する。
受容体に対してアゴニストとして働くが、アンタゴニストとしての作用も持つと考えられている。
受容体との結合は昆虫などで強く、ほ乳類などでは弱く、昆虫に対する選択性を強めている。い。イミダクロプリドは酸化ストレスを増加させる。
ラットに放射性標識イミダクロプリドを投与すると、血中の放射能が最大になるのは約1-3 時間である。
血中からの放射能消失は二相性であり、第一相の半減期は約3-4 時間であり、第二相の半減期は約25-120 時間である。
吸収されたイミダクロプリドは主に消化管に分布するが、それ以外では肝臓や腎臓、肺、皮膚に比較的多い。
半数致死量はマウス経口投与やラット腹腔投与では劇物に相当する。
イミダクロプリドを用いた自殺企図例で、症状が現れた中央時間は4 時間ほどである。
中毒症状は吐き気や嘔吐、頭痛、下痢が主で、重度では呼吸不全が起こる。
皮膚刺激や感作性はないと思われている。
イミダクロプリドをペット害虫駆除に使った場合、脱毛や流涎、嘔吐、呼吸速迫などがネコやイヌで報告されている。
イミダクロプリドの亜急性毒性試験で、無影響量は5mg/kg と報告されている。
イミダクロプリドに子宮内被ばくしたラットで、感覚運動障害が見られる。
グリア線維酸性タンパク発現異常も見られる。
イミダクロプリドは甲状腺機能を妨害すると報告されている。
製造業者はイミダクロプリドに遺伝毒性はないとしているが、多くの研究が遺伝毒性があると報告している。
被ばくはイミダクロプリドの取り扱いや食品中残留、ペット寄生虫治療による間接的影響により起こる。
イミダクロプリド製剤の中毒は製剤に添加される薬剤によっても生じる。
イミダクロプリドの分解は水田状態では半減期ガ1-70 日と短いが、畑地状態では70-90日と長く、野外状態をシュミレートした容器内試験ではさらに長く、畑地状態では218 日に達する。光分解は速やかである。
イミダクロプリドは水溶性で、浸透移行性殺虫剤である。イミダクロプリドは多くの作物で登録されており、農作物中での残留も多くの作物で確認されている。
イミダクロプリドはミツバチの群崩壊症候群の一因とされている。
イミダクロプリドは単胞子虫との共同作用で、ミツバチに影響を与えることも報告されている。
ミツバチ行動に対するイミダクロプリドの影響は冬より夏に強いと報告された。
イミダクロプリドはミツバチの嗅覚や視覚による学習に悪影響を与え、採餌活動に致死量の約1/200 で悪影響を与える。
使用されたイミダクロプリドは他の昆虫やミミズなどにも影響を及ぼすと報告されている。
イミダクロプリドは発芽中の稲に悪影響を与えることがある。
イミダクロプリド使用により耐性昆虫が出現している。
イミダクロプリドはカドミウムのDNA 障害や亜硝酸の小核誘導作用を強め、ノニルフェーノールポリエトキシレートのミジンコに対する影響を強める。