DDVP(ジクロルボス)論文8 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・行動への影響
DDVP が行動に影響を与えることが報告されている。
比較的少量のDDVP (3 mg/kg/日)をラットに10 日間腹腔内投与すると、オープンフィールド試験*では行動の抑制が見られた。

7 日目に区画間の移動数が24%に低下したが、10日目では60%に回復した。

立ち上がり反応は7 日目に低下したが、10 日目には急速な回復を示した。しかし、洗顔動作は10 日目でも更に減少した。

排便は7 日目に0%まで抑制されたが、10 日目には完全な回復を示した。運動は有意な抑制を示し、精巧な運動は粗大な運動よりも抑制された(Ali et al.1980)。
*オープンフィールド試験:動物を入れ物に入れ、その中の動物の区画間移動数や立ち上がり回数、身づくろい回数、移動開始までの時間などを調べ、自発運動量や情動行動、探索行動などを調べる試験比較的少量のDDVP (3 mg/kg/日)をラットに10 日間腹腔内投与し、神経伝達物質であるドーパミンやノルエピネフリン・セロトニンのレベルを調べた。

ドーパミンは5 日目と7 日目に有意な減少を示したが、10 日目には脳幹でやや回復した。ノルエピネフリンは大脳皮質で減少した。
セロトニンは大脳と脳幹で減少した。

ノルエピネフリンとセロトニンは10 日目に有意な回復を示さなかった。

行動とこれらの神経伝達物質のレベルとの間に関連があると思われる(Ali et al.1980)。
Verma et al. (2009)はジクロルボスの低レベルのDDVP 被ばくに関しアセチルコリンエステラーゼ阻害以外の影響とそのメカニズムを調べた。

ラットに1.0 mg/kg や6.0 mg/kg のDDVP をラットに12 週間投与した。

回転棒試験や受動回避試験*、水迷路試験などに神経行動学的障害が、ラットに見られた。

この場合のコリンエステラーゼ阻害はられなかった。

アデニルサイクラーゼの細胞内信号経路に関係するムスカリン受容体の一部の発現減少が見られ、これらの受容体に関係する細胞内シグナル伝達経路も影響を受けた。

記憶を高めるという転写因子CREB のリン酸化が減少した。

特に、ムスカリン受容体M2 がDDVP 慢性被ばく後に神経行動学的障害を起こすのに強い関係があると思われる(Verna et al. 2009b)。
*受動回避試験:動物が自ら反応しないことにより不な刺激を逃れる学習行動。明・暗の二つの部屋を行き来できる場合、明室に入れた動物が暗室に入ったときに不快な電気刺激を与えると、動物は暗室に入らないという受動回避反応を示す