・内分泌系への影響
フェニトロチオンではテストステロン受容体を阻害し、雄の性的発達に影響を与えることが知られており、フェニトロチオンで見られたホルモンかく乱作用は、有機燐剤に共通する可能性が指摘されている。
フェンチオンでも早急に検討する必要があるだろう。
催奇形
○ フェンチオンに催奇性はないと思われる[1]
○ 器官が形成される時期に、1回あるいは3日間 80 mgまでのフェンチオンを腹腔内投与したマウスで、胎児重量は低下したが欠陥は発生しなかった。[1]
○ 60 mg/Lのフェンチオンを含む水を飲んだマウスの5世代で催奇影響は見られなかった。[1]
変異原性
○ 変異原性のデータは結論を出すには不十分である。[1]
○ マウスでの検定では変異原性を示さない。[1]
○ マウスの小核試験で陽性であった。[2]
○ 人間の培養リンパ球で姉妹染色分体交換を増加させる。[3]
○ ラットの培養肝細胞で不定期DNA合成を誘導する。[2]
○ フェンチオンはチャイニーズハムスター培養細胞で姉妹染色分体交換を培養細胞で引き起こす。
また細胞周期の遅れを招く。[7]
発癌性
○ 結論を出すにはデータが不十分である。[1]
○ フェンチオンの発癌性試験で、発癌性であることが雄マウスで示された。[1]
○ ラットとマウスの2年間投与実験で発癌性は観察されていない。[1]
○ 米国立癌研究所の研究で、フェンチオンを投与したラットで甲状腺腺腫と精巣腫瘍の発生が見られた。
その後のより多量を投与した実験では同じ種類の腫瘍が増加するという証拠は見られていない。[2]
○ マウスに0.1、1.0、 5、25 ppmのフェンチオンを含む餌を102週間与えた実験で、 5 ppm投与グループで肝臓腫瘍の発生が多かったが、25 ppm投与群では多くなかった。[2]
○ マウスに10又は20 ppmのフェンチオンを含む餌を投与した場合に、皮膚腫瘍(肉腫、繊維肉腫、横紋筋肉腫)の発生が見られた。
同様の以後の研究では腫瘍の発生増加は見られなかった。[2]
器官毒性
標的器官には中枢と末梢(まっしょう)神経系、心臓がある。また眼にも長期的影響を与える。[1]