水銀:神経毒物4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・その他の影響
 
メチル水銀は神経系への影響が強いことが知られています。

神経系以外への影響はあまり強いものではありませんが、注意すべきであるという報告があります。
 
腎障害は動物実験で確認されています。

特に雄はメチル水銀による慢性腎障害に敏感であることが知られています。
 
循環器系(心臓と血管)へメチル水銀が影響をおよぼすことが報告されています。

種子消毒をした時にメチル水銀を吸い込み、血圧上昇が見られた症例が報告されています。

この症例では神経毒性も現れ、死亡しています。

動物実験でも血圧や心拍数への影響が報告されています。
 
フィンランドのクオピオ大学のバータネンの研究グループは心臓血管の病気になったことがない42才から60才のフィンランド人男性1871人について、平均13.9年間の追跡研究を行った (Virtanen et al. 2005)。

最も毛髪中水銀が少ない方から3分の 2 までのグループと比較して、最も毛髪中水銀量が多い方から3分の1までのグループ(2.03μg/g)は、冠状動脈の問題のリスクがが1.60倍、循環器病のリスクが1.68倍、冠状動脈疾患のリスクが 1.56倍、全ての原因による死亡のリスクが1.38倍であった。論文によると毛髪中の水銀が高いと、魚油中にあるドコサヘキサエン酸(DHA)とドコサペンタエン酸 (DPA) の循環器系に対する保護効果を低いものにするという。

このグループは水銀含量の多い魚を常食するのは避けるべきだと勧告している。
   
消化器系への影響は人間では報告されていませんが、マウスでは胃潰瘍の発生が報告されています。
 
免疫系への影響も動物実験で知られており、液性免疫や細胞性免疫に影響を与えることが報告されています。
 
生殖能力への影響は動物実験で示されています。また人間でもメチル水銀被ばくにより精液減少や性欲低下・不能などが起こることが報告されています。

最近では海産物摂取による水銀被ばくと不妊との関連が香港の疫学研究で報告されています。水銀の生殖毒性を参考にしてください。
 
この他に遺伝毒性があることも報告されています。
 
 
他の汚染物質との相互作用
 
環境は多くの化学物質によって汚染を受けています。魚介類などの摂取によってメチル水銀による人体汚染を受けますが、他の化学物質とメチル水銀の相互作用によって汚染の影響が強まることが報告されています。
 
除草剤のアトラジンとの相互作用により、メチル水銀による神経毒性の発現が早まることや、ビタミンC欠乏では神経毒性が強まること、逆にビタミンEが毒性を低下させることが報告されています。
 
アルコールはメチル水銀中毒を重くし、腎障害を起こしやすくすることが知られていますが、逆に発症時期を遅らせることも知られています。