・川西市の健康被害
2005年12月、NTTドコモ基地局が稼働し、基地局の高さは20mだが、周囲に傾斜地があって、家によってはアンテナがちょうど目の前にあるという状況だ。2008年4月3日に電波が停止され、その後撤去された。
私たちの会で、電波が止まる前と止まった後で、基地局から200m以内に住む住民にアンケート調査を行った。
有効回答は12人(12~70歳)。症状の数、発生頻度、強さを記入してもらったら、数、頻度、強さともに、停止後は減少した。
アンケートに協力してくださった方の住宅で電場を測定したら、1階は停止前の64%に、2階は73%に減少した。
このときの測定器は100KHz~3GHzで、ドコモの電波だけを測ったわけではない。
ドコモの電波だけを測った報告書が京都弁護士会にあるが、そこではさらに顕著な差が出ている。
海外の疫学調査
ポーランドのウッチ市という、2番目に大きな街で基地局周辺に住む420名を対象に、疫学調査が行われた。
頭痛を訴える人が57パーセントいた。距離別では100~150メートルのエリアに住んでいる方で最多で36.4パーセントを占めた。
記憶力の低下では、150メートル以上で最も多く24.4パーセントだった。距離によって症状が違うのは興味深いところだ。
ドイツのリムバッハ村で疫学調査が行われた。
1年半にわたって住民のホルモン分析をした。
すると、外的なストレスに対抗して体内で作られる、アドレナリンやノルアドレナリンというホルモンが、基地局稼働後に上昇した。
被曝量が高いと変化が大きいことも確認された。
基地局の情報公開
フランス、イギリス、ドイツなどでは、基地局の位置情報をネットで公開している。
しかし日本では、破壊活動のおそれがあるとか、企業の利益を損なうおそれがあるとして位置情報は非公開だ。
しかし、どこに基地局があるのか、いつ建つのかといった情報は知る権利の問題でもあるし、健康と財産を守るための必須情報だ。
これまで、基地局を建設したが、反対運動のため、稼働前または稼働後に撤去または移転されたケースもあり、携帯会社にとってもデメリットだと思う。
やはり、きちんと情報公開をして、住民との合意を得て、どういうふうにどこに建てるべきか、そういう議論をちゃんとする必要がある。
今、各地で、基地局マップを市民が作る動きがある。札幌市でも、さっぽろ基地局探検隊が基地局のマップをインターネットで作って公開している。
基地局の位置をクリックすると、基地局の写真と詳しい住所が出る。
海外では政府がやっていることだが、市民が自分たちの身を守るために情報を共有していくことも非常に大事なことだと考えている。