・3.優先取組物質の見直しについて
3.1 基本的な考え方
優先取組物質は、平成8年1月30 日付け中央環境審議会答申「今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(中間答申)」にて示されている「国内外に人の健康への有害性についての参考となる基準値がある物質でこれらの値に照らし大気環境保全上注意を要する物質群、又は物質の性状として人に対する発がん性が確認されている物質群」(B分類物質)に該当するものであり、第二次答申において、有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質リストの中から、当該物質の有害性の程度や我が国の大気環境の状況等に鑑み健康リスクがある程度高いと考えられる有害大気汚染物質を選定することとされている。
今般の見直しに当たっては、これらの考え方を踏襲し、我が国の大気環境目標値や諸外国及び機関の大気環境保全政策の中で利用されている目標値と比較して一定程度を超える濃度で検出されている物質又は発がん性等の重な影響を有し一定の曝露性のある物質を選定することとする。
3.2 選定基準
以上の考え方を踏まえ、以下のいずれかの要件に該当する物質を「優先取組物質」として選定する。
(1)大気環境保全上注意を要する物質群
ア 我が国の大気環境において、以下の値を超える濃度で検出されている物質
(ア)我が国の大気環境目標(大気汚染に係る環境基準又は環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値))の1/10 の値
(イ)以下の諸外国及び機関における大気環境保全政策の中で利用されている目標値の幾何平均の1/10 の値(我が国の大気環境目標が設定されていない物質に限る。)
①EU の目標値
②イギリスの大気環境目標
③オーストラリアの大気環境監視基準
④ニュージーランドの大気環境指針値
⑤WHO 欧州地域事務局のガイドライン値
イ アに該当する物質以外で、大防法附則第9項の規定による指定物質に指定されている物質
(2)人に対する発がん性等の重篤な有害性が確認されており、一定の曝露性を有するもの
(1)に該当する物質以外で、以下の化管法における特定第一種指定化学物質の有害性の選定基準に該当する物質であって、
(ア)過去10 年間において大気中からの検出例があるもの。
(イ)過去10 年間において大気中からの検出例はないが、これまでに化
管法に基づく大気中への排出量の届出があるもの(大気中で検出され
る可能性が低い物質を除く)。
化管法における特定第一種指定化学物質の有害性の選定基準
発がん性: 人に対して発がん性あり(化管法における発がん性クラス1に分類される物質)
変異原性: ヒト生殖細胞に遺伝的突然変異を誘発する
生殖毒性: 人の生殖能力を害する又は人に対する発生毒性を引き
起こす(化管法における生殖毒性クラス1に分類される物質)