飼い猫の消臭のベランダに散布したため階下に居住する者が化学物質過敏症に罹患4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・3 証明責任と証明の程度
本件で裁判所は、クレゾール以外のその他薬品類の散布行為について、不法行為の成立を認めませんでした。
このような裁判所の判断について、「証明責任」(あるいは「立証責任」や「挙証責任」ともいいます。)と「証明の程度」という民事訴訟における概念との関係を説明したいと思います。
本件のような不法行為に基づく損害賠償請求訴訟では、原告は敗訴しないために、原則として、不法行為の上記q~tの各要件に該当する具体的事実があることを証明する必要があります。

これを、「原告が証明責任が負っている」といいます。

そして、その「証明の程度」は、「通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであること」が必要とされています。

本件では、Xらは、上記q「加害行為」の要件に該当する具体的事実「Yらがその他薬品類を散布した」との事実について証明責任を負っており、この事実を証明するために、B大学C研究室による屋外空気質の分析結果等を証拠として提出するなど、科学的な立証を行いました。

しかし、裁判所は、「Yらがその他薬品類を散布した」との事実があったことを疑うことも不可能ではないが、あくまでも「推測の域にとどまり」「的確な裏付けを欠く」(すなわち、通常人が「Yらがその他薬品類を散布した」との事実が真実であることについて疑いを差し挟み、真実であるとの確信を持てない)として、Xらの主張を認めませんでした。
判決書から窺える事情は限られていますが、マンションの階下に住むXらにとって、捕集空気の分析結果のほかに、さらに階上の住民による散布行為を示す証拠を収集して提出することは、相当難しかったのではない
かと思われます(さらに、Xらは、散布行為と化学物質過敏症の発症との間の因果関係という立証が難しい事実について証明責任を負っています。)。

このような公害を巡る訴訟において、「通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうる」程度まで証明することが困難な場合が多いことを感じさせます。


runより:本件は訴訟のカテゴリーに入れるべきではありますが事前に調停をしているので公害としました。

この様な理由でも裁判で勝つ事ができます。

泣き寝入りの時期は過ぎたのです。