増える環境過敏症(1) 規制外の化学物質で変調 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・増える環境過敏症(1) 規制外の化学物質で変調

A子さんの検査結果を説明する宮田幹夫さん 東京の会社に勤めるA子さん(44)は昨年3月、新築された社屋に初めて入った途端、鼻をつく薬品のような刺激臭を感じた。

同じ階では内装の仕上げ作業が続いており、そこから強い臭いが出ているようだった。

 その日、パソコンで事務作業を始めて2時間、目の痛みと頭痛に襲われ、せきが止まらなくなった。

帰宅すると治まったが、以来、内装工事が完了した後も出社の度に症状が表れた。

 息苦しさ、全身の筋肉痛、発熱など症状が次々と増えた。内科の血液検査では異常はなかった。

だが、オフィス以外でもすれ違う人の服についた柔軟剤やたばこの臭いで吐き気や頭痛などが起こるようになり、昨年5月に休職した。

 そよ風クリニック(東京・杉並区)院長の宮田幹夫さん(北里大名誉教授)はA子さんの自律神経の乱れを検査で確認し、化学物質過敏症と診断。

同僚の女性社員2人にも同じ症状が表れ、宮田さんが診断した。

 この病気は、特定の化学物質の臭いや刺激をきっかけに体調不良が起こり、次第に原因物質以外の様々な化学物質に反応するようになる。

悪化すると、数百メートル離れた人の服についたたばこの臭いなど、機器で検出できないほど微量な化学物質で体調を崩すこともあり、心の病と間違われることが少なくない。

 化学物質過敏症を巡っては1990年代半ば、建材に含まれるホルムアルデヒドなどが新築の家の空気中に広がり、体調不良の引き金になる「シックハウス症候群」が相次いだ。

そこで国は、13種類の化学物質の濃度指針の作成やホルムアルデヒドの使用規制などを行い、シックハウス症候群は減少した。

 だが最近は、規制外の化学物質で体調を崩す人が後を絶たない。

宮田さんは「換気が悪いオフィスや学校などで患者が出ている。

空気中には数千種類の化学物質があり、原因物質の特定は困難」と話す。

 治療は、体調悪化を引き起こす化学物質から遠ざかることが第一だ。

その上で、ウオーキングなど適度な有酸素運動や、ぬるめのお湯に長くつかるなどして、自律神経を整える。

「ビタミンCが多い果物(農薬が少ないもの)や、海藻などミネラルが多い食品も、体の酸化を防いで回復につながる」と宮田さんは勧める。

 宮田さんはA子さんの会社の産業医に換気の徹底を依頼。同僚2人は数か月の休職の後、仕事に復帰できた。A子さんはまだ出社できないが、症状は軽くなってきている。

 環境中の人工的な物質や音、電波が体調悪化を引き起こす「環境過敏症」の現状を報告する。

化学物質過敏症
 化学物質の臭いなどに反応して頭痛やめまい、だるさ、抑うつなどが起こる。

物を追う目の動きや、光に対する瞳孔の反応などで自律神経の乱れを確認する。

2009年に病名として認められた。

(2011年9月8日 読売新聞)