・(5)国際的な協調の下での国際的責務の履行と積極的対応
東アジア地域をはじめとする諸外国において化学物質が適正に管理されるようになることは、長距離移動や不適正な輸入を通じた有害化学物質の流入を防ぐ観点から、我が国における環境保全にも資することを踏まえ、開発途上国を中心とした国際協力・国際協調の取組を進めます。
具体的には、我が国における環境モニタリング等の経験と技術をいかし、東アジア地域の国々と共同して、広範囲の環境中での化学物質の状況を把握するためのモニタリング、コンピュータモデルによる予測等の国際的な協調を進めます。
また、我が国における化学物質管理の経験と技術をいかし、開発途上国における化学物質管理システム構築への技術的支援を進めます。
化学物質は様々な国で製造・使用されるため、一国の規制・対策が貿易を通じて他国にも影響を及ぼすことを踏まえ、化学物質の評価・管理手法の国際的な調和に向けて貢献します。
その際、環境リスクの低減を基本とした我が国の規制・対策の経験がいかせるよう、我が国からの積極的な情報発信を進めます。
また、我が国の規制・対策の見直しに当たっては、各国の規制・対策の体系・内容と比較するとともに、国際機関の動向を踏まえ、参考となる点は必要に応じて取り入れます。
有害性情報の収集、リスク評価、試験法の開発等に関する国際的なプログラムに対し、重要なプロジェクトの主導や国際会議の開催等により積極的に貢献しつつ、国際分担による作業を進めます。
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約等の国際条約を着実に履行するとともに、国際的なモニタリングの主導、対象物質の追加の提案等、条約に基づく活動に積極的に取り組みます。
地球規模での有害金属対策等の分野で、我が国の経験をいかし、国際的な化学物質管理の枠組み作りに寄与します。
また、化学品の分類及び表示に関する世界調和システムの2008年の実施に向けた取組を進めます。
5.取組推進に向けた指標及び具体的な目標
いくつかの有害化学物質については、環境基準や、環境保全の上で参考となる指針値が設定されています。
これらの基準・指針値の達成は、化学物質による環境汚染を防止する上で基礎的な目標です。
本計画でも、例えば大気環境と水環境の両方で環境基準・指針値が設定されている物質に着目し、これらすべてに係る達成状況を指標の一つとして各種取組の進行管理を図ります。
また、化学物質の有害性情報の収集及びリスク評価の実施は、情報の収集・評価済み物質数等で取組の進捗状況を測ることができます。
既存化学物質については、安全性点検実施状況を把握して、取組の進行管理を図ります。
リスク評価については、製造・使用・廃棄の流れの把握を含め、リスク評価の取組が進行し、又は終了している物質数を取組の進捗を測る指標として活用します。
さらに、PRTRデータ等を用いた化学物質の環境への排出状況は、環境リスク低減のための指標として有意義に活用することができます。
現状では、PRTR制度によりすべての排出源からの排出量や排出経路が正確に把握できているとは言えない状況にあり、また多種類の物質の排出量を総合化する手法等、指標化の手法も確立されていません。
PRTR対象物質のうち、環境基準・指針値が設定されている物質等の環境への排出量を指標とするとともに、今後、PRTRデータ等を用いた排出インベントリの構築及び総合的な政策指標の検討に取り組みます。