農水省 漸く蜜蜂不足の調査へ | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出展:農業情報研究所
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/index.html
農水省 漸く蜜蜂不足の調査へ 蜜蜂保護の視点が欠如

農業情報研究所(WAPIC)

09.4.4

 4月3日の閣議後記者会見で、「ミツバチの不足の問題をどういうふうに認識されていて、また、今後どういう対応、作業等をしているのか」と問われた石破農林水産大臣が、「日本全国どういう状況にあるか、各都道府県において、どこがどういう状況なのかということを、正確に、詳細に把握をしたいということで、早急にその状況を取りまとめるように、という指示を出したところであります」と答えた。

 http://www.maff.go.jp/j/press-conf/min/090403.html

 欧米でも日本でも、大量死や巣ごとの失踪(蜂群崩壊症候群=CCD)などによる固体群激減という蜜蜂異変が報じられるようになって久しい。

無反応だった農水省も、生産者の訴えで漸く動き出さざるをえなくなったようだ。

ただ、大臣の関心は、専ら、蜜蜂不足に苦しむ生産者のための蜜蜂調達策にあるようだ。蜜蜂の保護策については、まったく話がない。

これでは、食料どころか、蜜蜂までも輸入頼みということになりかねない。

 大臣もいうとおり、「何でこんなことになったのだということは、いろいろ、低栄養であるとか、ストレスがあるとか、農薬とか、寄生虫とか、その他の病気とか、いろいろあるわけで、まだ原因特定には至っていない」。

だからといって、蜜蜂保護策は後回しでいい、あるいはそうするほかないということにはならないはずだ。

 少なくとも、一部の大量死に、抵抗性発達や安全性問題から使用が制限されるようになった有機りん系やカーバメート系殺虫剤に代わって使用が近年増えているネオニコチノイド系殺虫剤が関係していることは、ほぼ確かである。ドイツでも、日本でも、大量死した蜜蜂から、その有効成分であるクロチアジニンが検出されている。このような殺虫剤の使用制限は、直ちに実行可能な蜜蜂保護策になるだろう。

 低栄養やストレスの原因と考えられる農業方法そのもの(モノカルチャー化、ハウス栽培)についても、疑いがある以上、改善の方向を探るべきだろう。

CCDについては、日本では報告がないようだが、状況の把握もこれからというのでは、恐らく漏れているだけだろう。

CCDに関しては、携帯基地局が発する電磁波で蜂が帰巣できなくなったというLandau University(ドイツの) の Jochen Kuhn博士の研究もある。

 Are mobile phones wiping out our bees?,The Independent,07.4.15
 http://www.independent.co.uk/environment/nature/are-mobile-phones-wiping-out-our-bees-444768.html

 英国環境食料農村省(Defra)とウエールズ行政庁は先月はじめ、イングランドとウエールズの蜜蜂の健康を保護し、改善する「ヘルシー・ビーズ(Healthy Bees)」10ヵ年計画を発表した。

 DefraのNews Releaseは次のように言う。

 Jane Kennedy launches plan to halt declining bee numbers,Defra,3.9
 http://www.defra.gov.uk/news/2009/090309a.htm

 計画は養蜂団体と協議して策定されたもので、有効な生物安全保障措置を確保する養蜂家の支援によって蜜蜂個体群(数)を維持することを目指す。

.計画の第一段階では、蜂の健康問題についてナショナル・ビー・ユニット(NBU)に知らせる必要性があると啓発し、蜜蜂データベース(BeeBase,)への登録を促すために、恐らくは2万人にのぼるアマチュア養蜂家を確認し、彼らとの接触を試みる。

これは、新たな、あるいは既存のあらゆる健康問題の確認に役立つ。

 過去2年、蜜蜂の数は10~15%の減少を記録した。

NBUと接触のない多くの養蜂家がいるから、実際にはもっと大きく減少している可能性がある。

それが多種の病気や環境の脅威に曝されており、これらの脅威のあるものは、過去5年から10年の間に大きく増加した。

 計画は、養蜂家個人、養蜂家団体、その他の関係者が共同、次の5つの主要な目標の達成を目指す。

 1.害虫、病気、その他の危害を可能なかぎり低レベルに抑えること。

 2.害虫と病気のリスクを最小限にし・蜜蜂集団の維持に貢献する適正養蜂基準の促進―予防は治療に勝る。

 3.害虫、病気、望ましからざる種からのリスクを最小限にする有効な生物安全保障の奨励。

 4.健全な科学が蜂の保健政策とその実施を支えるように保証すること。

 5.蜂の健康に関してすべての人が協力すること。

  日本の石破農林水産大臣は、「原因は特定をしなければいけないということがある。

それは、今日、明日にすぐできるわけではございません」と言うが、原因は特定できなくても、「予防原則」に基づいてなすべき措置はいくらでもあるはずだ。

もしそれができないというなら、生産者保護の観点ばかりが優先され、蜜蜂保護の観点がないがしろにされているからではないか。

それは、結局は生産者をさらに苦しめることになるだろう。

なにもかも英国に倣う必要はない。

しかし、蜜蜂保護を重視する姿勢だけは、しっかりと学ぶ必要がある。