・出展:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
http://kokumin-kaigi.org/
ニュースレター第71号
・ネオニコチノイド系農薬国際市民セミナー
―ミツバチやトンボ、私たちの子どもを守るためにー
理事 水野 玲子
11月12日(土)開催にむけて
原発震災が起こり、私たち国民の関心は放射能の
危険性に向いていますが、その状況のなかで、新しいタイプの農薬の危険性もますます重要な問題になってきました。
みなさんご存じのネオニコチノイド系農薬です。日本でも70年代から多用されてきた有機リン系農薬に替わり、使用量が年々増えているのがこの農薬です。
今では家庭でも、シロアリ駆除やコバエやゴキブリ退治、家庭菜園の殺虫剤、そして住宅建材まで幅広く日常生活で使われるようになりました。
そして全国各地の森林でも、松枯れ対策として、この薬剤が散布され始めています。
そして何よりも心配なのは、果物や野菜、お米など農薬物のほとんどに今日この農薬が使用されていることです。
しかも、国が決めているネオニコチノイド系農薬の残留基準は、欧米の数十倍から数百倍という高い値なのです。
そんなに使って大丈夫なのでしょうか。
ヨーロッパ諸国の中でもフランス、イタリアやドイツなどでは、すでにネオニコチノイド系農薬に関しては、一部規制が始まっています。
一方、国レベルでの規制の遅い米国では、シエラ・クラブなどの市民団体が国にネオニコチノイド系農薬の規制を求め、またイギリスでも市民団体が動きだしています。
国民会議が11月12日に主催する「ネオニコチノイド系農薬国際市民セミナー」では、ミツバチ大量死を経験したドイツ養蜂家や、この農薬の規制を求め国に働きかけをしているイギリスの市民団体代表などをお招きして、貴重なヨーロッパの動きをお話していただきます。
海外ゲストとしては、以下のお二人をお招きしました。
Walter Haefeker 氏(ドイツ):ヨーロッパ職業的養蜂家連盟(EPBA)代表。
ドイツの職業的養蜂家連盟(DBIB)運営委員。2009年の国際養蜂
協会連合(Apimondia)の会合では、「ドイツのミツバチコロニーの消滅、報告と教訓」を報告。
Matt Shardlow 氏(イギリス):イギリスの市民団体バグライフ(Buglife)代表。昆虫、貝類や線虫など一般に無脊椎動物といわれる小さな生き物たちを守ることを目標に掲げている国内唯一の団体。
ネオニコチノイド系農薬の使用禁止を国にもとめて目下活動中。
また日本からは、ミツバチの現状やネオニコチノイド系農薬の子どもの神経発達への影響などについてお話していただきます。
講師は以下のお二人です。
大谷剛氏(兵庫県立人と自然の博物館):日本のミツバチ研究の第一人者。
兵庫県立大学大学院環境人間学研究科共生博物部門教授も兼務。
専門は昆虫行動学、ミツバチの行動学。2008年に兵庫県でもミツバチの大量死に遭遇し、ネオニコチノイド系農薬の危険性に注目している。
黒田洋一郎氏(脳神経学者、元東京都神経科学研究所):『アルツハイマー病』『ボケの原因を探る』(岩波書店)などの著書があり、環境ホルモン(内分泌攪乱物質)が脳神経機能に及ぼす影響や、その毒性メカニズムに関する総合研究などでも知られている。
また、子どもの脳の発達に及ぼす影響については、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の原因と疑われる有機リン系農薬にとどまらず、ネオニコチノイド系農薬の危険性について警告を発している。