油中のタンパク質の定量は, 食物油アレルギーのリスク評価には決定的に重要である.
また, 臨床研究で反応の閾値を決定する際にもタンパク質含量を知ることは重要である.
最近は少量のタンパク質を再現性よく測定できる免疫化学的方法が使われるようになった.
これらの方法は感度がよく選択性 (特異性) も高いが, 免疫化学的方法は水相の環境でしか使えないので, 結果が抽出効率に左右されるという難点がある.
油の精製法には化学的な方法と物理的な方法の二つがあるが, いずれも酸による処理, 漂白, 脱臭などの工程を通る.
精製によって油のアレルゲン性が無くなったり, かなり減ることは確かであるが, 精製方法の違いによる差についての調査報告はほとんど無い.
アレルギー患者に対する油の安全性確認のために, 市販の油には閾値未満の残存タンパク質しかないことが明確にされる必要がある.
未精製, 半精製のピーナッツ油はピーナッツアレルギーがある人において反応を引き起こすことは知られているが, 精製ピーナッツ油のアレルゲン性については見解が区々である.
フランスの Moneret-Vautri のグループはピーナッツアレルギーがある人においては, 精製ピーナッツ油でも反応を引き起こす可能性があるという結果を得ており, その際の油の分析では精製油に100~200 ng/mL, 未精製油に 3.4 μg/mL のタンパク質が含まれていたとする.
しかし, 抽出率については情報がない. これらの結果とは対照的に Taylor らや Hourihane らの仕事では精製ピーナッツ油, あるいはアメリカやイギリスで市販されている油はいずれもピーナッツアレルギーがある人において反応を起こさなかったとしている.
アレルギー反応の閾値に関する研究がほとんど無いなかで, Hourihane らはピーナッツ過敏症の人14人中2人が 100 μg のピーナッツ粉に含まれるタンパク質に反応し, 10~50 μg では反応した者はいなかったと報じている.
他の油のアレルゲン性に関する報告はほとんど無く, あったとしてもアレルギーがある人への安全性を実証したものである.
ピーナッツは最も強いアレルゲンの一つであるから, ピーナッツ油以外の油でも精製ピーナッツ油と同程度のタンパク質含量とし, 精製ピーナッツ油から得られた安全性を外挿するのが妥当である.
runより:この論文では精製油にはアレルゲンであるタンパク質が無いという事を示唆しています。
油で注意する点はコンタミ(混入を意味する)で揚げ物などで複数の物を揚げた場合。
油はアレルギー、痛み誘発成分であるという事です。