・2、無人ヘリコプター空中散布では、現地混用を禁止する。
無人ヘリコプターの場合、地上散布よりも高濃度の希釈液(地上の場合1000倍希釈、空中散布の場合8倍希釈)が使用されるが、その際、複数の登録農薬を現地混用で使用すれば、全農薬濃度は単独より高くなる。
混合製剤は、農薬登録に際して、急性毒性試験データの提出が必要だが、現地混用では、農薬の薬効のみが重視されてしており、急性毒性試験データがない。
そのため、農水省は混合剤の使用を推奨している。
無人ヘリコプターでは、散布効率を重視するあまり、登録混合剤があるにも係わらず、農林水産航空協会の混用事例集では現地混用を認めたものがある。
たとえば、無人ヘリコプター適用農薬としてスミチオントレボン乳剤があるが、スミチオン乳剤とトレボンエアの現地混用を認めている(現地混用事例1参照)。
また、環境省が実施した「農薬残留対策に関する総合調査」には、無人ヘリコプターによるドリフト知見をうるための試験を現地混用で実施している(現地混用事例2参照)。
いずれの事例でも、現地混用により全農薬濃度の高い散布液が使用されているのは問題である。
<現地混用事例1>登録製剤使用と現地混用の散布液農薬濃度比較(単位:g/L)
農薬の種類 MEP エトフェンプロックス 全農薬濃度
①スミチオン乳剤 8倍希釈 62.5 - 62.5
MEP50%
*地上散布1000倍希釈 0.5 - 0.5
②トレボンエア 8倍希釈 - 12.5 12.5
エトフェンプロックス10%
*10%含有剤地上散布300倍希釈 - 0.31 0.3
③スミチオントレボン乳剤 8倍希釈
MEP40%,エトフェンプロックス10% 50 12.5 62.5
*地上散布1000倍希釈 0.4 0.1 0.5
①+②の混用 62.5 12.5 75
<現地混用事例2>03年に長野県飯山市での水田で実施された環境省の試験より
散布液中の農薬濃度(単位:g/L)
農薬の種類 トリシクラゾール MEP BPMC 全農薬濃度
①ビームゾル 8倍希釈 25 - - 25
トリシクラゾール20%
*地上散布1000倍希釈 0.2 0.2
②スミバッサ乳剤75 8倍希釈 - 56.25 37.5 93.75
MEP 45%:BPMC 30%
*地上散布1000倍希釈 0.45 0.3 0.75
①+②の現地混用 8倍希釈 25 56.25 37.5 118.75