・ 内分泌かく乱化学物質問題は、身の回りに存在し我々の体内に取り込まれる可能性のある化学物質群に、ホルモン活性を有することが既に知られている物質、あるいはホルモン活性を有するか否か検討されていないが、その可能性のある物質が存在することが指摘される事から、始まっています。
ホルモン活性を有する化学物質が生体の内分泌系の機能を変化させることにより、健全な生物個体やその子孫、あるいは集団(またはその一部)の健康に有害な影響を及ぼす可能性が、一部の野生生物の研究や、基礎的な内分泌学、内分泌毒性学、生殖毒性学の研究から示されたことにより、厚生労働省はこの問題を一つの重要な検討課題と位置づけ、この問題の把握や作用のメカニズムの解明のため関係省庁・研究機関と連携を図りつつ、平成10年(1998年)4月から生活衛生局長 (当時)の私的検討会として、「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会」を設置し、現在に至るまでその検討を進め、それに必要な各種の研究を推進してきました。
「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会」
検討会では、
1.身の回りにあり人体に取り込まれる可能性のある数万種類に及ぶ化合物の、ホルモン活性や関連する特性、使用状況などを調査し、更に詳細に検討する優先順位付けを行う。
2.優先順位の高い物質から順に、実際に人々の健康に有害な影響を及ぼし得るか否かを詳細に検討(詳細試験)する。
と言う、2段階の手続きを踏む事と致しました。その理由として、
1.今までに既に規制を受けている化学物質の中で、ホルモン活性を有する事が判明した物質について、今までの化学物質の有害性を評価する方法に照らして緊急に「使用禁止」などの追加処置を必要とするものは、見つかっていない事。
2.詳細試験は、今までとは異なった視点から有害性を検討する必要があることが示されつつある事、即ち、胎児や新生児、小児から成人、老人、に至る一生涯を視野に入れ、且つ内分泌系のみならず、神経系、免疫系も考慮した、今までとは異なった試験法、あるいは今までの試験法を改良する事を検討する必要があるという事。
3.詳細試験は、比較的大規模な試験となる可能性が高い事から、数万種類の化学物質に適応する事が事実上、不可能であり、優先順位けが必要である事。