・口演45
職業・環境アレルギー1
座長:岡田千春(国立病院機構本部)
O45-2.シックハウス症候群と化学物質過敏症の病型に関する検討
小倉英郎, 小倉由紀子
国立病院機構高知病院臨床研究部小児科
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【目的】シックハウス症候群(SHS)および化学物質過敏症(CS)の病型と新規発症患者の推移を検討し,本症の病態を研究する.
【方法】2000年10月~2010年6月に当院,化学物質過敏症外来を受診した87名を対象とし,診療録から病型,初診患者の推移について検討した.
【結果】82名中SHS単独型(CSを合併しない)10.3%,SHS,CS型(SHSで発症し,CS症状を併発.CS進展型)44.8%,CS発症型44.8%であり,約半数(55.1%)がSHSとして発症するもののその多く(39名/48名,81.3%)がCSに進展した.
性別の検討では男16名,女71名と圧倒的に女性が多かった(81.6%).
性別病型別の検討から女性はCS発症型あるいはCS進展型が多い傾向があった.
初診患者数の検討では,2007年以降はCS発症型が増加の傾向にあった.【結論】SHSとして発症した患者の多くはCSに進展する事が明らかにされた.また,CS発症型も決して少なくなかった.
CSにおいては,化学物質の高濃度暴露を契機に発症しているケースも見られたが,特別のエピソードは認めず,慢性の経過で発症している症例が多く見られた.さらに,新規発症患者の検討から最近はCS発症型が増加の傾向にあることが明らかにされた.
これには平成14年の室内化学物質濃度指針値の設定によるSHSの減少が関与している可能性が示唆された.
第60回日本アレルギー学会秋季学術大会 2010年11月開催