・一般演題
環境アレルギー,職業アレルギー,昆虫アレルギー
座長:中村陽一(横浜市立みなと赤十字病院アレルギー科)
P5-7-2.化学物質過敏症における受動喫煙の影響
水城まさみ, 山田博之
国立病院機構盛岡病院呼吸器・アレルギー科
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目的】化学物質過敏症(MCS)は環境中の化学物質曝露に過敏に反応して,多臓器の症状を呈し日常生活に支障をきたしてくる疾患である.
どのような化学物質によって症状が誘発されるかには個人差があるが,タバコは大部分の患者が反応する物質の一つである.
本研究では受動喫煙がMCSに与える影響について明らかにする.
【方法】当院化学物質過敏症外来を受診した患者にアンケートを実施し,受動喫煙の反応,症状,回避した結果等について質問した.
さらに受動喫煙症診断基準によるレベル3の急性受動喫煙症およびレベル4の慢性受動喫煙症に相当する患者でMCSを発症したと考えられる症例について検証した.
【結果】当院で診断されたMCS患者の85%においてタバコの煙や衣服や髪などに付着した臭いを強く反応する物質に挙げていた.
特に女性では夫が禁煙しない場合にMCS症状が改善しない例が多かった.
職場での曝露では構内全面禁煙や人の集まる会議の免除などの配慮が症状改善に貢献していた.
さらに以前にはMCSの症状が全くなかった患者で急性受動喫煙からMCSへ移行した37歳男性と慢性受動喫煙から重症のMCSに移行した36歳女性を提示する.
【結論】受動喫煙はMCSの発症,重症化,難治化要因となっていると考えられた.
MCSの発症予防には受動喫煙防止の積極的な取り組みが必要である.
第22回日本アレルギー学会春季臨床大会 2010年5月開催