漢方治療が非常に有効であったアレルギーの2症例 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・一般演題
環境アレルギー・化学物質過敏症
座長:長谷川眞紀(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)

177.漢方治療が非常に有効であったアレルギーの2症例

八代 忍
大田原赤十字病院漢方内科


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【諸言】西洋医学的治療が無効であったアレルギーに対し,通常は感冒に用いる香蘇散が有効であった2症例を経験したので報告する.

【症例1】56歳,女性.15年前より頻回に咳,鼻炎症状を認め,某病院化学物質過敏症外来を受診するも有効な治療法がないため当科を初診した.NSAIDs,抗ヒスタミン薬,抗生剤など全てにアレルギー反応を示し,胃腸障害があることから,香蘇散を1日7.5g分3で処方し,服用2週で改善した.

また疲労感,便秘も改善し,主訴の変化と同等の満足が得られた.

【症例2】36歳,女性.1年前より月経前に微熱,抑うつ気分を認めた.

近医精神科で処方されたクロチアゼパムも効果がなく,当院を初診した.

何度か処方を変更し,加味逍遥散と半夏厚朴湯の併用で症状が改善した.

アレルギー性鼻炎と耳介部の皮疹にも漢方治療を希望した.

強い疲労感を認め,これを目標に香蘇散を処方し,約6週間で疲労感とともにアレルギー症状も改善した.

【考察】香蘇散の保険適応病名は「胃腸が弱い者の,感冒の初期」となっているが,アレルギー疾患,便通異常,自律神経障害にも用いる.

内服薬を拒否する患者でも受け入れられるのは,味覚的に服用しやすいことに加え,抗うつ効果も関係があると推察する.

他の内服薬で症状の悪化や副作用を経験し,それを強く訴える患者にはよい適応と考える.

第21回日本アレルギー学会春季臨床大会 2009年6月開催