・シンポジウム6
薬物アレルギーの診断と治療の進歩
司会者:池澤善郎1), 眞弓光文2)(横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学1), 福井大学医学部病態制御医学講座小児科学2))
S6-1.薬剤アレルギーにおける皮膚テスト
松永佳世子, 山北高志
藤田保健衛生大学医学部皮膚科
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薬剤アレルギーの皮膚テストは,即時型と遅延型の検査に分類される.
即時型アレルギーの皮膚テストは,プリックテスト,スクラッチテスト,皮内テストの順に行う.
抗原量が多くなるので,後者ほどアナフィラキシーの危険性が高くなる.臨床経過を十分把握し,これまでの報告を確認して,テストの試薬の濃度を決める.薬剤は水に不溶の場合は,ワセリンに混ぜて,オープンテスト,スクラッチテスト,スクラッチパッチテストの順にすすむ.
いずれの検査でも陰性の場合は,内服あるいは注射による誘発テストを行うことになる.
遅延型アレルギーの皮膚テストは,パッチテスト,光パッチテスト,皮内テストの3つがある.薬疹の型が,湿疹型,紅皮症型,固定疹型,drug-induced hypersensitivity syndrome(DIHS),toxic epidermal necrolysis(TEN)型などでは,パッチテストの陽性率が高くなる.
光線過敏症型薬疹では,薬剤内服中のUVAによる最小紅斑量が短縮していること,あるいは光パッチテスト陽性などで検査を行う.
薬剤の側からみると,パッチテスト陽性になりやすい薬剤と,なりにくい薬剤がある.
前者は,カルバマゼピン,塩酸メキシレチン,ピロキシカム,アンピロキシカムであり,後者はフェノバルビタール,アロプリノール,DDSなどがあげられる.
本講演では,薬剤アレルギーの皮膚テストの実際と問題点について解説する.
第21回日本アレルギー学会春季臨床大会 2009年6月開催