薬剤性過敏症症候群(DIHS)の診断と予防・治療 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・シンポジウム15
薬物アレルギーの診断と予防・治療
座長:榊原博樹1),堀尾 武2)(1)藤田保健衛生大学医学部呼吸器・アレルギー内科,2)関西医科大学皮膚科)

2.薬剤性過敏症症候群(DIHS)の診断と予防・治療

藤山幹子
愛媛大学 医学部 皮膚科


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 薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)は,発症後10日から30日後にヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の再活性化を伴う薬疹である.

抗けいれん薬,アロプリノール,メキシレチン,サラゾスルファピリジン,ジアフェニルスルフォン,ミノサイクリンが原因となり,2週から6週内服後に遅発性に生じる.

発疹以外に発熱,肝障害,腎障害,リンパ節腫脹,血液障害などの臓器障害を伴い,経過が遷延する.

一部の症例では,重篤な臓器障害により致死的な経過をとることもある.DIHSの診断には,HHV-6の再活性化の証明が重要である.

HHV-6の再活性化は,IgG抗体価の顕著な上昇により確認できる.

また,末梢血中にウイルスDNAが突然増加することを検出する方法もあり,これにはreal-time PCRを用いた末梢血中のウイルス量の測定が有用である.また同様の方法で,血清中のウイルスを検出することも可能である.

しかし,HHV-6の再活性化の検出は,HHV-6の再活性化が発症後10日以降に生じることから,早期診断の方法にはならない.

早期のDIHSは,臨床症状から診断することとなる.

DIHSの臨床像は,発熱,異型リンパ球の出現,リンパ節腫脹,肝脾腫のように,ウイルス感染症に類似するため,DIHSを知らないと診断が遅れがちである.早期診断には,DIHSという薬疹がある特定の薬剤で生じることを知識として持っておくことが重要である.

また,DIHSには特有の皮疹も存在し,皮膚所見から疑うことも可能である.DIHSの治療には,ステロイドの全身投与が有効である.

しかし,それがウイルスの再活性化を容易にするという考え方もあり,最近ではガンマグロブリンを併用した治療も試みられている.

また,HHV-6の再活性化はDIHSの再燃に関与するため,HHV-6の再活性化を阻止することが,有効な治療法となりうるかもしれない.

しかし,いつ,どこでHHV-6の再活性化が開始するのかについては,現時点では不明であり,治療に結びつけていくためにも解明が待たれる.

第17回日本アレルギー学会春季臨床大会 2005年6月開催