・一般演題
化学物質過敏症
座長:青木秀夫(下仁田厚生病院内科)
314.化学物質過敏症570例の臨床的検討
渡辺一彦
渡辺一彦小児科医院
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(目的)生活環境中の微量な化学物質による健康被害の一部は化学物質過敏症として社会問題化している.そこで,その誘発症状,推定誘発状況・物質について検討した.
(方法)対象は通院患者で,推定誘因物質の除去・負荷の指導で症状の軽快・増悪が認められた症例.
(結果)91年以降03年までに570例(男198例,女372例:19歳以下297例,20歳以上273例)を得た.
性差は19歳以下では無かったが,20歳以上では女性が男性の3倍以上だった.
誘発症状は前者では湿疹・皮膚炎群が主で,以下喘息,多彩な不定愁訴が特徴な多種化学物質過敏症が次ぎ,何らかのアレルギー疾患が先行・合併する例が多かった.
20歳以上では,多種化学物質過敏症や眼・鼻・喉の局所刺激症状が主で,アレルギー疾患の既往は少なかった.
推定状況・物質としては,自宅新築・リフォームによる揮発性有機化合物が半数近くを占めているが,00年以後はその比重が減少し,学校や介護施設等の職場の環境要因によるものが増加している.
また家具,消臭剤,化粧品,洗剤,煙草等の身近な日用品によるものも依然約1/3を占めている.
誘因物質と誘発症状には一定の関連は認められなかった.
(結論)日常診療の中で,生活環境の化学物質の影響を十分配慮することが求められる.
特に小児においてはアレルギー疾患の増悪時には検討が必要である.
第16回日本アレルギー学会春季臨床大会 2004年5月開催