・一般演題
薬剤アレルギー(2)
座長:森田栄伸(島根医科大学皮膚科)
216.当科アレルギー患者における化学物質過敏症の検討
高橋一夫1) 山川有子2) 大砂博之1) 池澤善郎1)
横浜市立大学医学部皮膚科1) 横浜市立大学市民総合医療センター皮膚科2)
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化学物質過敏症はホルムアルデヒド,トルエンなどが原因となって頭痛,粘膜刺激症状,気道症状,神経症状など様々な訴えを示す疾患であるが,皮膚疾患との関連での報告は少ない.
また,化学物質過敏症はアレルギー患者で高頻度にみられるとの報告もあり,化学物質によりアレルギー症状が難治・増悪していると考えられる症例も存在し,化学物質とアレルギー(様)反応との間には何らかの関与が示唆される.そこでアンケート調査や問診により当科アレルギー外来通院中の患者で化学物質過敏症が疑わしい症例がどの程度存在するか調査したところ21症例をみいだした.内訳はアトピー性皮膚炎17例,アスピリン不耐症3例,慢性蕁麻疹1例(男女比10:11)で,家の新築・改築などが発症の契機になっており皮疹の悪化・難治化と関連していた.
症状として微熱,倦怠感,頭痛,咽頭痛が重要と思われた.
さらに,5症例ではNK活性を測定したが(22.2±7.9),アトピー性皮膚炎130例(27.2±12.2)と比較し低い傾向がみられた.
NK活性は自然免疫として重要であるが,化学物質は何らかの機序で自然免疫を抑制しTh1よりTh2反応を誘導されやすくなり,アレルギー疾患の増加・難治化に関与しているのではないかと考えている.
第15回日本アレルギー学会春季臨床大会 2003年5月開催