化学物質過敏症の治療と対策 環境対策 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・シンポジウム1
化学物質過敏症
司会者:石川 哲1),西岡 清2)(北里研究所病院臨床環境医学センター1),東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科環境皮膚免疫学2))

6.化学物質過敏症の治療と対策 環境対策

相澤 好治
北里大学医学部衛生学公衆衛生学


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 化学物質症の病因と病態が判明していない現状では,根本的な治療・対策は存在しないが,できるだけ化学物質曝露を避けたり,減らすことが優先されなければならない.

環境対策には発生予防と治療的側面があるが,ここでは主として発生の予防対策について触れたい.
 化学物質が日常生活を営む上で必須である現在の社会で,化学物質曝露を零にすることは不可能である.

したがって現時点で入手可能な毒性に拘わる科学的知見から,ヒトがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても,健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値を設定して,これを達成するよう進めて行かざるをえない.

科学的知見は,動物やヒトに対する化学物質の中毒影響を健康影響の根拠としているので,この値以下であれば化学物質過敏症が発生しないという意味ではない.
 一般環境,家庭環境,職域環境と分ければ,家庭と職域での化学物質曝露が重要である.

職域は有害化学物質の製造・使用を行うところで,高濃度曝露を受ける機会がある.

事務職場では,換気の指標として二酸化炭素などの物質を定期的に測定しており,通常は問題になることは少ないが,新築や改修後に事務所を使用する場合,本症発生の原因となることがある.

家庭環境では建築材料や家具に種々な化学物質が使用されており,高気密性の上,換気もよくないため,本症の予防対策の重要な対象となる.

環境管理には発生源対策が最も重要であり,最近,国土交通省は従来建材に使用されてきたクロルピリフォスとホルムアルデヒドに規制をかけるため建築基準法を改正した.

厚生労働省は室内空気汚染対策のため,種々の化学物質濃度の指針値を設定している.

これまでに指針値等を策定した物質は,ホルムアルデヒド,トルエン,キシレン,パラジクロロベンゼン,エチルベンゼン,スチレン,クロルピリフォス,フタル酸ジ-n-ブチル,テトラデカン,フタル酸ジ-2-エチルヘキシル,ダイアジノンおよび暫定目標値として総揮発性有機化合物量(TVOC)である.

第52回日本アレルギー学会総会 2002年11月開催