化学物質過敏症の実態調査 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・シンポジウム1
化学物質過敏症
司会者:石川 哲1),西岡 清2)(北里研究所病院臨床環境医学センター1),東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科環境皮膚免疫学2))

3.化学物質過敏症の実態調査

内山 巌雄
京都大学大学院工学研究科環境工学専攻


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 化学物質過敏症の疾患としての定義はまだ確立していないが,公衆衛生学的見地から化学物質過敏症(以下CSと略)への対応を考える場合に,現在どの程度CS様症状を経験している人がいるかについて把握することが重要である.

そこでわれわれは,実際にCSやシックハウス症候群と診断されている人がどのくらいいるのかを調査すると共に,米国のMillerらが開発した調査票を石川らが翻訳したものに,若干の改良を加えて調査票を作成し,全国から層化2段無作為抽出した20歳以上の男女4,000人を対象に平成12年7月7~10日に面接調査を行った.

Millerらの原法はCSの特徴に関する5項目50問の設問であるが,今回はカットオフ値を設定することで化学物質に感受性の高い人や,対照群となる人を設定しうると報告されている「症状」,「化学物質曝露による反応」,および「その他の化学物質曝露による反応」,の3項目,30問で行った.

各設問に0~10の段階で回答してもらい,各項目ごとの合計を0~100のスコアとして解析した.

回答数は2,851(男1,271,女1,581)で回答率は71.3%であった.
 実際にCS,シックハウス症候群,何らかのアレルギー疾患と診断されたことがあると回答した人はそれぞれ,0.8%,0.5%,17.1%であった.

またCSの特徴としての「症状」のスコアが0の人が34.6%,0~5の人が55.1%であった.また「化学物質曝露による反応」,「その他の化学物質曝露による反応」ではスコア0~5はそれぞれ63.2%,78.1%であった.

Millerらは,本調査に用いた3項目について,各項目のスコアがそれぞれ≧40,≧40,≧25をハイカットオフポイントに設定し,このカットオフ値を満たした人を,化学物質に対する感受性の高い群としてスクリーニングし得るとし,実際の彼らの調査では,6.6%が3つの,15.8%が2つのカットオフ値を満たしたとしている.

今回のわれわれの調査ではそれぞれ0.74%,2.1%とMillerらの調査結果と比較して値は小さかったが,日本独特の食品,化学物質等に関する項目が入っていないこと,米国でのカットオフ値であることなど,まだ検討課題は多く,今後増加する可能性は大きい.

第52回日本アレルギー学会総会 2002年11月開催