・(3)家庭用品に含まれる化学物質等に係る規制
上記の医薬品、食品等以外の、一般工業品や家庭用品に含まれる化学物質に関する主な規制としては、①化審法、②毒劇法及び③家庭用品規制法が挙げられる。
化審法及び毒劇法においては、それぞれ慢性毒性及び急性毒性の観点から化学物質の製造等が規制されている。
また、家庭用品規制法においては、科学的な知見の集積等により、家庭用品に含有される特定の化学物質についての規格・基準が策定されている。
① 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)
化審法は、PCB による環境汚染問題等を契機に、難分解性の性状を有し、継続的に摂取される場合に人の健康を損なうおそれ等のある化学物質による環境の汚染を防止するために、化審法上の新規化学物質(化審法制定当時に業として製造・輸入されていなかった化学物質)について事前の届出を義務付けるとともに、難分解性の性状を有し、かつ、継続的に摂取された場合には人の健康又は動植物の生息・生育を損なうおそれがある化学物質について、その有する性状等に応じて、製造、輸入、使用等について必要な規制を行っている。
化審法上の新規化学物質については、原則として、製造・輸入を予定している事業者から事前に提出される毒性試験等の結果に基づき、その安全性について審査されている。
他方、化審法上の既存化学物質については、国が実施している毒性試験等に加え、国が収集した有害性等に関する文献情報等に基づき、その安全性の評価を行っている。
また、事業者においては、自社で製造・輸入している化学物質について、人への慢性毒性のおそれがあるといった有害性情報を入手した場合には、国へ届け出る義務がある。報告された情報により、必要に応じて、当該化学物質の製造等についての規制等が実施されることとなる。
② 毒物及び劇物取締法(毒劇法)
日常流通する化学物質のうち、主として急性毒性による健康被害が発生するおそれが高い物質について、毒劇法に基づき毒物又は劇物に指定している。現在、毒物として104 項目が、また劇物として364 項目が指定されている。
毒劇物の取扱いについては、毒劇物である旨の表示や盗難・漏洩等の防止措置を義務付けるほか、運搬・廃棄等についての基準等を定め規制している。また、毒劇物の製造、輸入及び販売業者に対しては、登録制度を設け、施設基準及び毒物劇物取扱責任者の設置等を義務付けている。
また、国は化学物質の毒性等に関して定期的に情報収集を行っており、収集された情報に基づき、毒物及び劇物の指定の見直しを行っている。