・② ナノマテリアルが使用されている代表的な製品
(ア)医薬品
医薬品用途としては、ドラッグデリバリーシステム(DDS)に用いられるリポソーム4が挙げられるが、調査実施時点で、国内ではナノサイズのDDS を使った医薬品の例がなく、需要は研究開発が中心である。
その他に、ナノクレイやシリカなどが製剤のための助剤として利用されている。また、フラーレンやデンドリマーを利用した新たな医薬品が注目を集めており、今後、多様なナノマテリアルの医薬品への利用が拡大することが見込まれるとのことである。
(イ)化粧品
化粧品用途(ファンデーション、日焼け止め等)としては無機系ナノマテリアルが幅広く使用されており、そのうち酸化チタン及び酸化亜鉛が大きなシェアを持っている。
酸化チタンについては、平均粒径20~50nmのものが多く使用されている。化粧品用途のナノマテリアルは表面処理されているものが多く、原料の段階でシリコーン、水酸化アルミニウム、ステアリン酸、シリカ、アルミナ、界面活性剤等によりコーティングされている。
また、化粧品としてナノサイズのリポソームが利用された事例も確認されている。
3 鉱物の一種であるモンモリナイトを主成分とするベントナイトの純度を高め、粒子(分子)径
をサブミクロン程度にしたものが、ナノクレイと呼ばれている。モンモリナイトは、厚さ1nm、長さ100nm のりん片形の形状であるとされている。
4 リポソームは脂質二分子膜が球状の殻になった構造を持っている。
大きさは製造方法や条件に依存するが、直径20~100nm 程度であるとされている。
生体膜の基本構造を持っており、DDSやバイオセンサー等への応用について研究開発されているとのことである。
(ウ)食品
食品の用途としては、シリカ、ナノクレイ、リポソーム及び白金ナノコロイドの使用事例が確認されている。
シリカは食品用途として、ナノクレイは食品添加物として利用されている。また、ラクトフェリンを内包したリポソームについては、いわゆる健康食品としての利用事例が確認されている。
白金ナノコロイドについても、ミネラルウォーター、ヨーグルト等に利用されている。
(エ)食品容器包装
食品容器包装用途としては、ナノクレイや鉄をペットボトルに利用する研究が進んでおり、国内でも利用が開始されると見込まれているとのことである。
(オ)繊維
繊維用途としては、酸化チタン、酸化亜鉛、銀+無機微粒子、シリカ及びカーボンブラックの使用事例が確認されている。
(カ)家庭用品・雑貨・スポーツ用品
家庭用品・雑貨用途としては、銀+無機微粒子の使用事例が、スポーツ用品用途としては、フラーレン及び銀+無機微粒子の事例が確認されている。
(キ)家電・電気電子製品
家電・電気電子製品用途としては、電子部品内部への使用事例が多く、フラーレン、多層カーボンナノチューブ等の使用事例が確認されている。
また、家電用途では、フィルターにも利用されており、酸化チタン、カーボンナノチューブ、銀+無機微粒子等の使用事例が確認されている。
(ク)塗料・インク
塗料・インク用途としては、建築塗料、自動車用塗料、インクジェットインク等の中に、カーボンブラック、ナノクレイ、カーボンナノチューブ、酸化チタン等が使用されている事例が確認されている。
(ケ)その他
タイヤのゴム用途として、カーボンブラックがゴムに混練されて使用されている。
また、その他の用途として、印刷用紙や家庭用インクジェット紙のコーティング剤として、シリカ、デンドリマー等が使用されている事例が確認されている。
図、表省略。