・ナショナルジオグラフィック ニュースより
http://www.nationalgeographic.co.jp/
・最新の研究によると、においに敏感な人は他人の感情をかぎ分ける“嗅覚”にも優れているという。
動物の世界でにおいが重大な役割を果たしていることは、これまでの研究でよく知られている。
繁殖相手やライバルの体内で生じる微妙な化学的変化を検知できるかどうか、その能力が生死を分けることがある。
しかし人間の場合、においはそこまで死活的な存在ではなく、むしろ快適さや満足感に関係するものとなっている。
例えば、古今東西のさまざまな文学作品の中に、においの描写が登場している。
シャルル・ボードレールやマルセル・プルースト、アルベール・カミュといった詩人・作家は、その作品の中でにおいと感情のつながりを豊かに表現している。
アメリカのテキサス州にあるライス大学の社会化学者デニス・チェン氏はこういった文学作品からインスピレーションを受け、においと感情の間に本当につながりがあるのかを検証した。
「においと感情は、身体上の機能や構造の面で密接な関連性を有している。脳の部位の中で嗅覚をつかさどる嗅脳(きゅうのう)は、感情をつかさどる情動脳と重なり合っており、情動脳の発達に大きな貢献をしてきたと考えられる」とチェン氏は話す。
女性は男性と比較して嗅覚が均質的であり、感情のシグナルに敏感だといわれている。
そこで、チェン氏の率いる研究チームは、大学寮の二人部屋に住む22組44人の若い女性に対して、就寝着用に同じTシャツを配った。
実験の方法は、一晩着たTシャツをにおいだけで判別できるかというものである。
被験者の女性たちにそれぞれ3枚のTシャツを与え、「そのうちの1枚はルームメイトが着たもので、残りの2枚はほかの大学生が着たものだ」と知らせる。そして、ルームメイトが着たTシャツを当てるように求める。
その後、被験者の女性たちは、妥当性が実証されている情緒的感受性(emotional-sensitivity)を測るテストを受けた。
実験の結果、ルームメイトが着たTシャツを正しく選択した被験者は、後の情緒的感受性テストで高得点を獲得する傾向がはっきりと認められたという。
研究チームは、「においの感覚と感情は脳内の同じ部位に由来するものだ」と結論付けている。
今回の最新研究は、「Psychological Science」誌の2009年9月号に掲載されている。
runより:ロマンチックな気がしますが、化学物質過敏症の要因の1つかもしれないですね。