報告書には、どこにも「安全である」という根拠が示されていないにも関わらず、「危険性の立証が確立していない」という揚げ足取り的な批判に満ち満ちている。
小児白血病に関しては、「多くの疫学調査が危険性を示している」と書いてはいるが、一方では「交通状況、大気汚染、建物の古さなどの要因を調べていない」ので不十分であると批判している。
メラトニンへの影響に関しても、多数の論文があることを認めながら、ラットなどの動物実験が主であって、人間への影響などは再現性が乏しいとして切り捨てるのである。
最初から「結論あり」の極めて政治的な報告書の様に私には思えるのである。
確かに、「悪影響がある」ということが100%確立しているわけではないのであり、それだからこそ報告書も「電力線と小児白血病との関係に関して、緊急に要因の研究を行なうことが必要である」と述べ、乳ガンに関しても「メラトニンの減少理由の研究も含めて乳ガン研究を進める」必要性を認めているのである。
これから200年にかけて、米国やスウェーデンで4件の大がかりな「電磁波と乳ガンの疫学研究」が実施されていることも書かれていない。
小児ガンについても、英国とオーストラリアとの合同疫学研究が現在行なわれているところなのだ。
危険性の可能性が高いからこそ、この様な研究が行なわれているのである。
いつも良く言っていることだが、この様な研究のもっとも適した研究場所がこの日本なのである。
「送電線の直下での家の建築を認めている」と書かれているのがこの日本だからだ。
送電線周辺の人口密度は、米国の数十倍は高いのだから、マスコミこぞってその様な研究を行なうように厚生省などへ要求して欲しいと思うのだが、そのような要求すらせずに、今回の声明をまるで「電磁波は安全」とばかりに報道するのである。
今回のNRC声明・報告書を紹介した米国の週刊誌「ニューズ・ウィーク」(11月11日号)は記事の最後で次のように書いている。
「不安のある電磁場は少なくできる。古い型の電気毛布の電磁場は強いので新しい型のものに買い替えなさい。
電気製品からは離れるようにしなさい。
缶切り器やヘアドライヤーからは、6インチ(約15cm)よりも12インチ(約30cm)は離れるように。そうすれば電磁場の75%はカットできますので」と書いているのである。
私たちの望んでいるのは、まさに「安全であること」なのである。
少なくとも大規模な誤差の少ない研究を世界レベルで行なうべきなのである。とにかく、細胞や脳やガンなどと電磁波との影響研究は最近になって浮上した問題なのだ。
NRC声明・報告書が言うような古い問題なのではない。
WHOも2000年までの検討を開始している。
どの程度 「安全なのか」が明らかになるまでは、私たちは自分で身を守るより他に方法がないのである。
runより:この電磁波関連の諸資料はあえて古い順から掲載していきます。
「何故そうなった?」という過程から掲載しているからです。
他のを早く読みたい方は電磁波問題市民研究会HPをご覧下さい。
((。´・ω・)。´_ _))ペコ