・どうやって室内空気を測定するのですか
;厚生労働省の測定マニュアルでは、室内空気の採取方法について入居前と入居後の2種類を示しています。
入居前(建物からどんな化学物質がどのくらい揮発しているかを知るための方法)
1 30分換気して室内の化学物質を追い出します。
2 5時間以上閉めきって室内に化学物質が揮発した状態にします。
3 原則30分間で空気を採取します。
入居後(生活している人がどんな空気を吸っているかを知るための方法)
普通の生活状態(調理、入浴、換気など)のまま、24時間の空気を採取する。
測定は、採取した空気を精度の高い装置で分析します。
したがって、現場で数値がわかる機種での測定結果は、正確な数値ではなかったり、目的以外の化学物質の影響を受けていることがあります。
トルエンとはどんな物質ですか
:トルエンは、指針値が示された物質の中で最も揮発しやすい化学物質で、この性質を利用して塗料や接着剤の溶剤(有機溶剤)などに広く用いられています。
このことから、新築改築工事後の測定で基準(指針値)を超えて問題となっています。
トルエンやキシレンなどの溶剤として使用される化学物質は、適切に使用し二週間ほど換気すればかなりの量は放散してしまいます。
(建築業界では「枯れる」と表現します。)放散量が少なくなれば、温度が高く長時間閉め切った状態にならなければ、高い濃度になることはありません。
都内でトルエンが指針値を超えた事例では、
(1)工事直後に使用を開始した。
(2)工事直後の高濃度の状態で測定した。
(3)外部の壁などで使用したトルエンが壁の亀裂を伝わって内部に侵入した。
などが原因となっています。
トルエンの指針値は、空気1立方メートルあたり260マイクログラム(0.07ppm)です。
この数値は、ヒトに健康影響(長期影響)を与える最も低い値を参考に、一生涯呼吸しても十分安全な数値になるよう検討され決められています。
トルエンは空気よりも重たい物質ですが、室内に揮発する程度の濃度では、部屋全体に拡がってしまうので床に高い濃度のトルエンが溜まるようなことはありません。
なお、日本産業衛生学会では、トルエンを使う作業環境で50ppmを勧告値として示しています。
私たちの身近にあるトルエンを含む製品
塗料や接着剤、ガソリン(10から20%含有)、灯油など