天然化学物質(α-ピネン)によるシックハウス症候群の1例 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・一般演題
職業・環境アレルギー〔化学物質過敏症を含む〕
座長:土橋邦生1), 長谷川眞紀2)(1)群馬大学医学部保健学科, 2)国立病院機構相模原病院アレルギー・呼吸器科)

MS4-4.天然化学物質(α-ピネン)によるシックハウス症候群の1例

長谷川眞紀 大友 守 秋山一男
(独)国立病院機構相模原病院 臨床環境医学センター


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シックハウス症候群は室内空気質(indoor air quality-IAQ)による体の不調をいうが,IAQを汚染する化学物質としては,ホルムアルデヒド,トルエン,キシレンが重視されている.

我々は針葉樹から発散する天然化学物質α-ピネンによると思われるシックハウス症候群の一例を経験したので報告する.

[症例]初診時34歳の男性で,家の新築を契機にシックハウス症候群を発症した.

家族五人全員に症状(頭痛,咳,痰,のどの痛み,鼻汁)が発症した為,シックハウス症候群を疑い,環境調査をしたところ,α-ピネンの高値が指摘された.

ホルムアルデヒド等の濃度は新築家屋も旧家屋も差が無く,旧家屋では症状が出ない為,α-ピネンによるシックハウス症候群と診断された.

ベイクアウトするも症状は軽快せず,同居していた両親は旧家屋に戻った.

初診時,理学所見に異常は無く,アレルギー疾患の既往,合併もなかった.PvO2は73.8torr,QEESI症状スコアーは68であった.

時間の経過とともにα-ピネンの濃度は減少していき,症状も軽快した.

初診から1年後のQEESI症状スコアーは26であった.

[結語]省エネ,高気密の現代建築では,天然化学物質であってもその濃度が非常に高くなり,シックハウス症候群の原因となる可能性がある.

第18回日本アレルギー学会春季臨床大会 2006年5月開催