・Ⅳ 不安障害
1.パニック障害
大うつ病の次に鑑別すべきは、パニック障害である。
その理由は、この疾患も比較的有病率が高く(女性2%、男性1%程度)、こちらは非持続性(発作性)の自律神経失調症状が認められるからである。
パニック障害と診断するためには、表2に示したパニック発作症状のうちの4つ以上が、何の理由もなく突然起こり10分以内にピークに達することが、2度以上あることが必要である。
しかし、患者本人が、症状の出現を特定の化学物質などと関連付けている場合は、鑑別が難しくなる。
その場合には、化学物質の存在と関係なしに発作が起こったことがないかどうかを慎重に確認していく必要があるが、睡眠中(通常夢は見ていない)にも発作で目を覚ますことがあればパニック障害と診断してよい(パニック障害の半数程度に認められる)。
表2 パニック発作の診断基準