【内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)】3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ 内分泌撹乱化学物質の作用点については,標的細胞の受容体(レセプター)へのホルモン結合過程がよく知られているが,これ以外にも,ホルモン合成・放出過程(防汚剤トリブチルスズによる性ホルモン合成系のアロマターゼ阻害),レセプターへのホルモン結合後のシグナル伝達過程(農薬リンデンによるセカンドメッセンジャー生成阻害),ホルモン代謝・排出過程(ダイオキシンによるエストロゲン代謝促進)などがある。

レセプターへのホルモン結合過程では,亢進作用(ホルモン様アゴニスト作用)と拮抗阻害作用(坑ホルモン様アンタゴニスト作用)とがあり,エストロゲン(女性ホルモン)に関係するエストロゲン様作用(PCB,o,p’-DDT,ノニルフェノール,p-オクチルフェノール,ビスフェノールA,植物エストロゲン等;この作用は「雄の雌化」という表現で有名になった),坑エストロゲン様作用(タモキシフェン等),アンドロゲン(男性ホルモン)に関係する坑アンドロゲン様作用(p,p’-DDE等)などがみられる。

 内分泌撹乱作用の特徴として,これまで有害性が出ない無作用域とみなされていた極めて低濃度の領域で化学物質の影響が再度現れ,逆U字型の用量反応曲線が認められる低用量作用や,胎児の発生段階におけるスポット的影響(「感受性の窓」問題)が挙げられる。前者は「仮説」としてその真偽が長年議論されてきたが,その存在がより明確になりつつある。

後者については,例えば,低濃度でも化学物質が712週の外性器形成期に作用すれば,性器の奇形を引き起こす場合があることが理解されつつある。

また,内分泌撹乱作用を有する化学物質が,細胞の受容体を介する類似作用により,内分泌系のみならず免疫系や脳・神経系にも影響を及ぼす可能性が指摘されている。

一方,影響を考える場合には生体反応の可逆性を考慮すべきであり,何らかの不可逆反応が生じた場合でも有害性の有無を峻別すべき,との考え方も出されている。