・イ 情報提供・相談体制の確保
(ア) 自己管理に資する情報提供の促進
○ アレルギー疾患については、患者及びその家族により次に揚げる事項を行うことにより、自己管理することが望まれる。
例 生活環境改善(食物・住環境等に関する抗原回避、禁煙等)
罹患している疾患とその治療法の正しい把握
疾患状態の客観的な自己評価
救急時対応等
○ 国は、日本アレルギー学会等と連携し、上記内容について厚生労働科学研究において作成された患者の自己管理マニュアル等を用いて、自己管理手法を積極的に普及し、患者及び患者家族が有効に活用できるように努める。
このような国の取組を踏まえ、都道府県等においては、都道府県医師会や関係学会等と連携して研修会を実施する等して、保育所・学校(PTA等)・職域・地域(子ども会等)等における自己管理手法の普及を図ることが求められる。
また、市町村においては、都道府県等と同様の取組が期待され、乳幼児健診等における保健指導等の場を効果的に活用し、アレルギー疾患の早期発見及び自己管理手法の普及等を図ることが求められる。
さらに、学校・保育所等においては、保護者等と十分連携をとり、児童のアレルギー疾患の状況を把握して健康の維持・向上を図ることが望ましい。
医療従事者においては、自己管理手法の普及について正しく認識し、医療機関や保険薬局等において、看護師や薬剤師、管理栄養士等と医師との密接な連携のもと、適切な指導が実践されることが重要である。
(イ)効果的・効率的な情報提供
○ 国民及び患者にとって必要なアレルギー疾患に関する主な情報としては、以下のものが挙げられる。
例 アレルギー疾患に関する一般疾病情報(病因・病態・疫学等)
生活環境等に関する情報(患者の適切な生活環境確保に必要な情報等)
適切な治療や薬剤に関する情報
最新の研究成果等に基づいた、適切な診療に関する情報
医療機関及びサービスの選択にかかる適切な情報
○ 上記の情報を効果的かつ効率的に普及するためには、ホームページのみならず、パンフレット等も活用するなど効果的かつ効率的な情報提供が必要である。
国においては、適宜、関係団体や関係学会等と連携し、ホームページやパンフレット等を活用して、最新の研究成果を含む疾病情報や診療情報等を都道府県等や医療従事者等に対して提供する。また、免疫アレルギー疾患等予防・治療研究推進事業において実施されるリウマチ・アレルギーシンポジウムにより、アレルギー疾患に関する上記の情報を国民に広く啓発することが重要である。
地方公共団体においては、国等の発信する情報や、リウマチ・アレ
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ルギー特別対策事業を活用するほか、それぞれの地域医師会等の協力を得ながら、住民が適切な医療機関等を選択するための情報を住民に対して提供することが望ましい。
○ その他の事項として、下記のような取組が求められる。
・ 国は、アレルギー物質を含む食品に関する表示については、科学的知見の進展等を踏まえ、表示項目や表示方法等の見直しを検討していく。
・ 日本アレルギー学会が、近年、学術団体としての法人格を得て資格名を広告することが可能となったアレルギー専門医等についても、各臓器別疾患分野の専門医と併せて、その普及に努めていく必要がある。
・ 未就学児童をもつ保護者へのアレルギー疾患に関する情報提供は、乳幼児期がアレルギー疾患の好発年齢であることから特に重要である。そのひとつとして、市町村は、保育所等を通じて、食を通じた子どもの健全育成(いわゆる「食育」)に関する取組の中で、食物アレルギーのある子どもについても対応を進めていくことが望ましい。
・ 本年3月に決定された第2次食育推進基本計画においては、「食育を通じた健康状態の改善等の推進」に関連して、「栄養教諭は、学級担任、養護教諭、学校医等と連携して、保護者の理解と協力の下に、(中略)食物アレルギー等食に関する健康課題を有する子どもに対しての個別的な相談指導を行うなど望ましい食習慣の形成に向けた取組を推進する。」と記載されている。
(ウ) 多様な相談体制の確保・充実
○ 国は、地域ごとの相談レベルに格差が生じないよう、「リウマチ・アレルギー相談員養成研修会」のより一層の充実を図る。
また、(財)日本予防医学協会において実施されている、アレルギー相談センター事業が活用されるよう、その周知に努めるべきである。
○ 地方公共団体は、このような国の取組を踏まえ、都道府県においては体系的なアレルギー相談体制の構築、具体的には、一般的な健康相談等は市町村において実施し、標準的な治療方法等に関するより専門的な相談については保健所において実施する等を検討し実施することが望ましい。
○ 都道府県や保健所においては、地域医師会、看護協会、栄養士会等と連携し、個々の住民の相談対応のみならず、市町村からの相談や地域での学校等におけるアレルギー疾患対策の取組への助言等の支援が期待される。
○ 患者会等における相談窓口等も、特に、経験者の体験を基にした福祉的側面等の相談など、相談者のニーズに対応することが可能であり、広く活用されることが期待される。