アレルギー疾患対策の現状と問題点8 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・イ 情報提供・相談体制の確保に関する課題
○ 自己管理に資する情報提供について
・ アレルギー疾患については、抗原回避等の生活環境や生活習慣の改善、日常における服薬等の疾患管理、疾患状態の客観的自己評価及び救急時対応の手法等について自ら習得し管理することで、QOLの向上を図ることができる。そのため、厚生労働省においては、患者の自己管理マニュアル等の作成・普及に努めてきたが、現時点では必ずしもこういった内容を踏まえた適切な疾患管理が患者自身によって十分に行われておらず、その普及の在り方には課題を残している。
・ アレルギー疾患の治療においては、炎症を抑える薬物を長期投与することが多く、ステロイド薬等の長期投与に伴う副作用に対する留意は必要である。しかし、過度に副作用に対する懸念を抱くことにより、診療ガイドラインに基づいたステロイド薬の適切な使用による治療をも忌避してしまう患者やその家族も少なくないとの指摘がある。

そのため、国等の公共団体及び日本医師会、関係学会等の関連団体においては、患者やその家族に対して、適切な情報を適切な手段で提供することにより、患者やその家族が安心して最新の知見に基づく適切な医療を享受する機会を逸さない様にするための取組を行うとともに、薬剤の副作用について正しい知識を普及することにより、患者が薬剤の副作用発現に早期に気づき、合併症を併発し、より重篤な状態となることを避けることが重要である。
○ 情報提供の在り方について
インターネットの普及等により、患者自らがアレルギー疾患に関する各種の情報を入手できるようになった。

しかし、同時にいわゆる医療ビジネスや民間療法に関する情報も普及し、中には健康に悪影響を及ぼす誤った情報や、不適切な情報等もあり、国民にとって正しい情報を取捨選択することが困難な状況にある。

そのため、国民からは、正しい情報をさらに積極的に提供してほしいとの要望もなされている。
○ 相談体制の在り方について
個人差はあるものの、アレルギー疾患患者は長期的にQOLを損なう場合があり、また患者やその家族にも心理的負担がかかるとの指摘もあるため、アレルギー疾患を管理する上ではカウンセリング等の心理的支援にも留意した適切な相談対応が必要である。
また、国において実施している相談員養成研修会においては、アレルギー疾患に関する適切な情報を地方公共団体に所属する保健師等に提供する等により、相談員の養成に努めているところであるが、参加した保健師等からは担当部署の異動等により、養成研修会での経験が必ずしも活用されていないとの指摘もある。
地方公共団体における相談業務を始めとしたアレルギー疾患に関する対策が講じられている地域とそうでない地域とでは、喘息死の比率等にも差が生じている可能性も否定できないとの指摘もある。

ウ 研究開発及び医薬品等開発の推進に関する課題
○ 患者の実態把握について
国において対策を講じる上で必要なアレルギー患者の罹患率や有症率等の実態についての調査が必ずしも十分ではないとの指摘もある。
○ 予防法・根治的治療法が未確立であることについて
アレルギー疾患に関する研究の成果として、徐々に発症機序、悪化因子等の解明が進みつつあるが、その免疫システム・病態はいまだ十分に解明されていないため、アレルギー疾患に対する完全な予防法や根治的治療法がなく、治療の中心は抗原回避をはじめとした生活環境確保と抗炎症剤等の薬物療法による長期的な対症療法となっているのが現状である。

免疫アレルギー疾患に関する我が国の基礎研究は世界水準にあるといえるが、予防法・根治的な治療法の確立に資する研究は引き続き推進すべきである。


runより:QOLとはクオリティ・オブ・ライフの事でいかに健常に生活できるかの数値です。(大分略してますが。)