・(イ)地方公共団体におけるアレルギー疾患対策
都道府県においては、アレルギー疾患対策は、地域の特性に応じて自治事務として取り組まれており、具体的には、住民に対する普及啓発や相談窓口の設置などの取組が行われている。
しかし、市町村や関係団体等との連携を図っているところが少ないなど、各都道府県間の取組には格差があり、その対策は必ずしも十分なものにはなっていない。
また、医療計画上アレルギー疾患対策を定めているところは少ない。
(ウ)アレルギー疾患に関する専門医療等
アレルギー疾患に関する医療の水準を高めること、患者やその家族から見て医療機関や医師個人の専門を承知して診療を受けられるようにすること、医療機関及び医師が相互にその専門をすぐ判るようにすること等に役立つことを目的として、昭和62年10月、日本アレルギー学会によりアレルギー認定医制度が制定され、平成16年11月から専門医制度に一本化された。
平成22年現在でアレルギー専門医は2,965名(うち指導医496名)が認定されている。日本アレルギー学会の認定施設数は、273施設460科である。
また、アレルギー疾患には、呼吸器領域、耳鼻咽喉科領域、皮膚科領域、小児科領域等で診療される疾患が含まれており、それぞれの領域の専門医等もアレルギー疾患の診療において重要な役割を担っている。
平成22年現在での各学会認定の専門医師数は、日本呼吸器学会が4,364名、日本皮膚科学会が5,744名、日本耳鼻咽喉科学会が8,601名、日本小児科学会が14,106名である。
(エ)関係団体等による取組
日本医師会においては、医師の生涯教育においてアレルギー疾患をとりあげ、また地域の医師会によっては、アレルギー疾患に係る病診連携体制の構築に取り組むなど、医療体制の確保に資するための様々な取組が行われている。
日本アレルギー学会等関連学会においては、前述の様な診療ガイドライン等の改訂や、専門医・指導医等の育成、疾患の病態解明や治療法の開発等の研究推進等の取組を実施している。
また、患者会等においては、患者目線での普及啓発として、患者自己管理マニュアル策定への参画、患者間における相互協力・患者相談の実施、国を含めた公共団体等での体験講演などの活動が行われている。
(2)アレルギー疾患対策における課題
我が国においては以上のようなアレルギー疾患対策を実施し、欧米のアレル
ギー診療水準との格差はないが、患者への医療の提供等について、患者のニーズに対応できていない部分があり、課題を残しているといえる。