シンポジウム「海と魚と私たち-世界情勢から台所まで」 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・西日本新聞より
シンポジウム「海と魚と私たち-世界情勢から台所まで」海の幸知り食卓守る 取る人食べる人連携
 ■シリーズ 食くらし■
 〈パネリスト〉
宮本 啓史さん
(松浦魚市場協会会長)=長崎県松浦市
村松 一也さん
(村松水産社長)=大分県佐伯市
元岡 健二さん
(自然食レストラン「ティア」社長)=熊本市
古賀 和秀さん
(古賀鮮魚専務)=福岡市
〈コーディネーター〉
佐藤 弘(西日本新聞社編集委員)

     ◇
 長期企画「食 くらし」で漁業資源や海の環境について探った西日本新聞社は3月31日、福岡市中央区天神のエルガーラホールでシンポジウム「海と魚と私たち-世界情勢から台所まで」を開いた。

パネリストが語った漁業や流通の現状に驚く消費者の姿もあり、生産現場と食卓の距離が遠くなった社会の現状が浮き彫りとなった。

安全な食べ物は、生産者だけでなく、海や山、川にかかわる人々、生活排水を流す市民らの努力で身近なものになるとして、それぞれのつながりの大切さが示された。
     ◇
 ●作り手側から声発信 上流の山まで見据え
 -パネリストたちの発表を聞いた感想を。
 宮本 パソコンを器用に操って話す村松さんの姿に、漁業者ももっと知恵を使い、消費者に訴えなければと感じた。
 村松 現場の人間として、魚は取る人から食べる人まで思いがつながって初めておいしく食べられると思った。

全部つながれば「食育」と声高に言わなくても、ちゃんとした世の中になる。
 元岡 魚というものが、環境も含め、大事にしていかねばならない食資源であること、健康にもいい食材であることを再確認した。

養殖に、あまりいいイメージを持っていなかったが、村松さんのような方なら、いい養殖になるし、古賀さんのような魚屋さんが近くにいると食生活が楽しくなる。

日本の国土は世界で60番目だが、海を含めると6番目に広い。

新聞ももっと海、魚に目を向けてほしい。
 古賀 私たちは消費者に1番近いところにいる。

今日聞いた話を売り場で消費者に伝え、消費者の声も荷主さんに伝えたい。魚屋にやれることはたくさんある。

 -連載を教材にした小学校がある。
 長崎県波佐見町立南小・福田泰三教諭 連載を教材に授業をした。

小学5年生が書いた作文を聞いてほしい。
 《僕は今まで、PXB(塩素・臭素化ビフェニール)という、カネミ油症の原因となった有害物質の兄弟が、魚の中に入っているなんて考えたこともありませんでした。

しかも、その物質は身近にあるテレビや車などに使われていると知って、そんな恐ろしい物なら買わなければいいのにと思いました。

でもよくよく考えてみると、そんな単純なことではないと分かりました。

車はこの時代、必需品になっています。

だから「買わない」ではなく、「必要最小限の物を買う」ようにしていきたいと思います。
 「一家族だけしても無駄」という気持ちを捨て、「自分の家族から他の家族に広げていこう」という気持ちで、地球に、魚たちに少しでも優しいことをしていきたいです。

加害者としてこの地球に対して償いをしていきたいです》
 波佐見町に海はないが、大村湾で取れる魚は食べる。

連載は、有害物質が含まれているから魚を食べるなと言っているわけではなく、原因を考えようと言う。そこに気づいた子どもたちは、水、森、川の関係について調べ、自分たちに何ができるかを考えている。

食から環境が見えてきた。
 -海だけを考えてもいけない。

川、その上流には山がつながっている。
 「食 くらし」取材班・渡辺美穂 宮城で山に木を植えているカキ漁師の畠山重篤さんは言った。「漁師は魚が取れない原因を海の方ばかり向いて考えていたが、原因は背中にあった。それから、山に木を植え始めた」と。
 -福岡にも山を守る動きがある。
 林業・小森耕太さん(福岡県黒木町) 黒木町は、有明海に注ぐ矢部川の源流がある場所。

私たちは無農薬のお茶やシイタケを作るとともに、「山村塾」という場で、町の人と村の人が一緒になって、山仕事や農作業を守る活動をしている。
 村松 「森は海の恋人」という。大分県でも県民からもらっている森林保全税を使い、海と山が連携していく運動を進められればと思う。
 -海と山の間には農業もある。その意見を。
 農業・八尋幸隆さん(同県筑紫野市) 有機農業を始めて34年。

農産物直売所「むすび庵」で毎月1回、消費者と一緒に農作業や料理を体験しながら、農業のことを勉強してもらっている。

食の問題は、生産と消費が離れることで起きる。作る側のメッセージが伝わるようなことをやっていかなければ。
 元岡 私は有機農業が国を救うと考えている。

国民の健康と環境を守るため、国を挙げて有機農業を展開しているキューバに行き、やはり、リーダーが大事だと感じたが、人のせいにしても変わらない。まずは自分にできることからと、外食から小さな生産者を支援する取り組みを始めた。少しでも、同志とつながる機会を増やしたい。
 -私たちが使って捨てる排水について、いいかげんでいいのだろうか。
 「シャボン玉石けん」お客様相談室長・平安寿美子さん(北九州市) 私たちは暮らしの中で、食べ物に気を配るように、髪や皮膚、衣服を洗う洗剤のことについて考えているだろうか。

合成洗剤と違い、せっけんは1日で、水と二酸化炭素に分解される。

農業が農薬、工業が工場排水に気を付けているように、一般家庭でも家庭排水にも気を配ってもらえれば、と思う。