・天下のNHKが健康食品たたき?
2010年3月24日 10:20
「追跡!A to Z」がん代替療法に苦言
3月20日、NHKの特別番組「追跡!A to Z」で代替療法が取りあげられた。『がん患者が注目!どうつきあう?代替療法△1兆円市場の実態は?』と題して、乳がん切除の経験を持つタレントの山田邦子をアシスタントに迎え、代替療法として利用されている健康食品の明暗にスポットを当てた。
番組に先立ち、業界ではこのことが早くから取りざたされていた。
番組では「効くのか、効かないのか?」などと、司会が代替療法の効果に疑問を投げかけたり、モザイク入りの悪質業者が「がん患者はカモ」と告白するシーンを編集したりと、代替療法の暗部をあぶり出すような構成だった。
厚生労働省(以下、厚労省)の足立政務官を登場させる中盤となると、「体験談で興味を引こうとしている」というコメントを引き出し、その違法性をクローズアップした。
ラストは治療の不安から代替医療に向き合った女性患者が、最終的に治療院に帰っていくシーンで幕を閉じた。
いうまでもなく、違法な売買が良心的ながん患者を食い物にしているケースもあるかもしれないが、一方で、代替医療を用いることによって副作用を緩和したり、薬剤や手術に頼ることなく日常生活を維持している患者も多いことを忘れてはならないだろう。
患者(購買者)の自己責任や医療の問題からは焦点をそらしたやや情緒的な番組構成が気になった。
ネットIBで既報のとおり(健康情報サイト2月22日)、現在、厚労省研究班によるがん研究助成金「がんの代替医療の科学的検証に関する研究」が開始されている。
番組にも登場した東京女子医科大学国際統合医科学インスティテュート・大野智准教授らが進めるプロジェクトだ。
「抗がん剤の副作用がサプリメントの使用によって大幅に軽減される」といった患者などからの報告に対し、第三者的立場で厳密に審査しようとする取り組みである。
このような画期的な取り組みに対して同番組が水を差すような結果にならなければよいと思う。