農薬の被曝と中毒の臨床 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:食品・薬品安全性研究ニュース
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzensei.htm
・「農薬の被曝と中毒の臨床」
 世界中で1000以上の物質が,殺虫剤,殺菌剤,除草剤,殺鼠剤,抗菌剤として使用されている.

ここでは,California Pesticides Illness Surveillance Program に報告されたケースについて,臨床医がよく遭遇する農薬による急性症状症候群を説明する.

有機リン剤と N-メチルカルバメート
 殺虫剤である有機リン剤と N-メチルカルバメートは,全身性の障害を引き起こす代表的な農薬である.

有機リン剤は,コリンエステラーゼを阻害し,アセチルコリン作動性神経系の過剰刺激により,神経障害を引き起こす.

N-メチルカルバメート殺虫剤は,有機リン剤と同様の効果を持つが,その持続時間は短い.

有機リン剤による中毒は症状が1~2週間続くが,カルバメートによる中毒は24時間内に消失する.

従って,カルバメート系によるコリンエステラーゼ活性の低下は,有機リン剤による時より検出しにくい.

有機リン系農薬の多くは,皮膚と気管上部の刺激も引き起こす.

多くの有機リン系農薬に僅かに混在するメルカプタンと硫化物が原因と考えられる.

また,有機リン剤被曝7~14日後には,コリンエステラーゼ阻害以外の効果で重大な遅発性神経障害を生ずる.

この神経障害は回復に時間がかかり,30年続いた例もある.

殺虫剤の被曝では,その成分の識別が重要で,そのためのハンドブックやデータベース (http://www.cdpr.ca. gov) がある.

有機リン剤の急性中毒は,被曝歴,また赤血球と血漿中のコリンエステラーゼ活性を調べることで診断する.

遅発性神経障害は,症状と神経伝達を調べることで診断する.

気道の過敏反応はメタコリン負荷試験で診断するが,有機リン剤被曝との関連を立証するのはむずかしい.

中毒の治療は,重症でなければまず汚染除去を行う.

重症の場合は,低酸素状態から回復後,アトロピン投与,さらにはプラリドキシムの投与を行う.

ただし, プラリドキシムは,カルバメート中毒には,禁忌である.


runより:プラリドキシムとはパムの事です。