ガスストーブの使用と子供の呼吸器疾患 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:食品・薬品安全性研究ニュース
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzensei.html
・「室内における二酸化窒素濃度及びガスストーブの使用と子供の呼吸器疾患」
 二酸化窒素は燃焼によって生ずる.室内の発生源は,ガスストーブ,ガスヒーター,喫煙などである.

これらは,換気が充分でないと室内に滞留し,室外よりも高い濃度となる.

このような二酸化窒素曝露による健康への影響を考えるべきであるという問題があがってきた.

高濃度の二酸化窒素に曝露されると肺の疾患を引き起こしたり,ガスの酸化性汚染物質の効果により肺の防御機構が阻害されることが報告されている.
 一方,通常の住居内で経験するような低濃度の曝露による急性の影響は無さそうであるが,感受性の高い集団では影響があるかも知れないという報告もある.

このような集団の1つにアトピー性の集団があげられ,二酸化窒素曝露がアレルゲン曝露の作用を増強する可能性が示されている.

疫学的な研究でも,児童の二酸化窒素への曝露と呼吸器系疾患との関連を報告したものがあるが, このような関連は見い出せなかったとする報告もある.

これらの相違の一因は,二酸化窒素曝露量測定法が限られていることによる曝露量の誤った分類や,ガスストーブの有無のみによる分類など,検討方法の違いにある.
 そこで本研究では,オーストラリアビクトリア州ラトローブヴァレーの80家庭で,二酸化窒素を受動試料採取機により採取しその濃度を測定した.

7歳から14歳の148人がこの研究に参加し,53人は喘息であった.

子供達の健康調査は呼吸器に関する問診表,皮膚プリックテストおよびピークフロー測定で行った.
 二酸化窒素の濃度は,室内の中央値が 11.6 μg/mg (6.0 ppb),最大値が 246μg/mg (128 ppb)と低かった.

呼吸器疾患は,ガスストーブに曝露された子供でより顕著に観察された.二酸化窒素曝露は,呼吸器疾患の周辺リスク因子であったが,用量反応性相関が存在した.

一方,ガスストーブ曝露は,呼吸器疾患の有意なリスク因子で,同じ二酸化窒素濃度の条件でも有意なリスク因子であることがわかった.

これによって,平均的二酸化窒素曝露とは別の,ガスストーブ使用と関連したリスクの存在が示唆された.

アトピー性の児童は,非アトピー性の児童に比較して呼吸器疾患の大きなリスクを,ガスストーブあるいは二酸化窒素曝露で示す傾向があったが,有意差はなかった.
 本研究は児童の呼吸器に,ガスストーブへの曝露が明らかに有害であることを示した.

この作用には,二酸化窒素曝露の最大値が重要な因子であることが示唆され,影響を明確に評価するためには,疫学的検討においても室内濃度の中央値だけでなく最大値による曝露量の測定が必要であることを示唆した.

特に喘息の児童をもつ家庭では,調理方法の検討も加えたほうが良いかも知れない.

室内でのガスストーブを含む燃焼器具の使用にあたっては適切な換気行うことを強く勧める.