・出典:食品・薬品安全性研究ニュース
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzensei.html
日本のシックビルディング症候群における危険因子としての環境からのタバコの煙曝露と超過勤務
シックビルディング症候群 (SBS) は, 近代的なオフィスビルで働く人の間で増加している一般的な健康障害で, 皮膚や粘膜の痒みや不定愁訴を特徴としている.
SBS の症状は, 空調など室内の空気の性状に影響を及ぼす因子が関与しているが, 生理学的および心理学的労働環境や個人的な因子も関与している. 日本の労働者の間では環境からのタバコの煙 (ETS) 曝露と労働時間に関心が高いが, それらが SBS の症状に及ぼす影響については, まだ不明な点が多い.
著者らは, 日本の都市において様々なビルディングで働いている1,281名の自治体職員について1998年から横断的な調査を行った.
可能性のある交絡因子を訂正してから, SBS に典型的な症状のオッズ比を, ロジスティック回帰を用いて算出した.
非喫煙者の間では, SBS に典型的であるとされた症状と1日につき4時間の ETS 曝露との関連性についてのオッズ比は2.7であり (95%信頼限界:1.6-4.8), ほとんどの症状について ETS 曝露時間の増加によりオッズ比が増加した. 1か月の労働時間が30時間以上超過しても SBS の症状が認められるようになったが, SBS に関する粗なオッズ比は3.0 (95%信頼限界:1.8-5.0) であり, 超過労働に伴う様々な因子を調整すると21%低下し, さらに受動的な労働負荷を調整すると49%低下した.
これらの結果から, SBS 症状の進行には ETS 曝露と超過労働の量的増加が関与することが示唆され, 超過労働と SBS との関連性は, 労働環境と超過労働に関連した個人の生活様式によって説明できることが示唆された.