・一般演題
気管支喘息:病態と治療1
座長:滝澤 始1), 下田照文2), 横山彰仁3)(1)東京大学呼吸器内科, 2)国立病院機構福岡病院アレルギー科, 3)広島大学分子内科)
MS1-1-7.気管支喘息患者における動脈硬化とその臨床的特徴
大月道夫1) 笠山宗正1) 藤田麻里2) 藤田きみゑ3) 宮武明彦4)
大阪大学大学院 医学系研究科 内分泌・代謝内科1) 京都府立医科大学 地域保健医療疫学2) 滋賀県立大学 人間看護学部3) 医療法人 宮武内科4)
--------------------------------------------------------------------------------
【目的】動脈硬化症は動脈壁における慢性炎症性疾患と位置づけられる.
吸入ステロイド薬の継続投与が高頻度になされる喘息患者では動脈硬化が抑制される可能性があるとの仮説を立て,喘息患者の頸動脈硬化に関する評価を行った.
【方法】宮武内科通院中の喘息患者のうち同意が得られた99例(平均56±7才)を対象に,Bモード超音波法を用いて頚動脈内膜中膜複合体厚(mIMT)とプラークの有無について検討した.
対象患者のmIMTを,非喘息者(282例)の年令・性・動脈硬化危険因子より予測されるmIMTと比較した.
また,頸動脈硬化病変を認める患者と認めない患者の臨床的特徴を比較した.
【成績】対象患者のうち36例(36.4%)に頚動脈硬化病変を認めた.対象患者のmIMT値(0.92±0.16mm)は予測値(1.06±0.09mm)に比べ有意に低かった.頚動脈硬化病変を認める患者は認めない患者に比べて,過去2年間の吸入ステロイド薬の総投与量が有意に低かった.
【結論】喘息患者の動脈硬化は非喘息者に比べると軽度である.
この理由として,吸入ステロイド薬による治療が抗動脈硬化的に作用している可能性がある.
第18回日本アレルギー学会春季臨床大会 2006年5月開催