ニューモシスチス肺炎を疑ったが経過よりMTX肺炎と考えられた1例 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・一般演題
薬物アレルギー2
座長:冨田尚吾(昭和大学藤が丘病院呼吸器内科)

423.当初ニューモシスチス肺炎を疑ったが経過よりMTX肺炎と考えられた1例

西尾克彦
松波総合病院 内科


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症例は66歳男性.2003年6月頃より関節リウマチと診断され外来治療されていた.

2006年1月よりPSL6mg/日,MTX(リウマトレックス)8mg/週を投与開始した.同年3月発熱,呼吸困難出現し入院.胸部CTにて両側に広範囲なスリガラス陰影認められ,β-D-グルカン 65.3pg/ml(同年1月陰性),PaO2 51Torrなどよりニューモシスチス肺炎疑った.

MTX中止し,ST9g/日,PSL50mg/日投与し症状,CT像とも改善認められた.しかし入院時誘発喀痰検査でニューモシスチスPCR法陰性,治療開始3週間後β-D-グルカン 118.8pg/mlとさらに上昇し,真菌感染疑いイトラコナゾール投与したところβ-D-グルカン徐々に低下した.

喀痰培養及び血中,尿中抗原検査などより,細菌感染,抗酸菌感染,サイトメガロウイルス,インフルエンザウイルス,マイコプラズマ,レジオネラ,クラミジアなどの感染は否定的だった.

真菌血中抗原で唯一カンジダ抗原(ELISA法)のみ1.0U/mlと陽性だったが,眼内炎,心内膜炎,尿路感染などの所見はなかった.

経過よりMTX肺炎及び真菌感染が考えられた.

1999年3月から2005年12月の国内でのリウマトレックス副作用報告の中にニューモシスチス肺炎が84例あるが,MTX肺炎との鑑別が困難な症例も含まれていると推察された.

第56回日本アレルギー学会秋季学術大会 2006年11月開催