・一般演題
薬物アレルギー・薬剤性障害3
座長:高藤 繁(国際医療福祉大学附属熱海病院内科)
P32.肉芽腫形成を伴ったサリドンによる薬物性肝障害の1例
阿部雅則 日浅陽一 村田洋介 熊木天児恩地森一
愛媛大学 医学部 第三内科
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症例は38歳,女性.約2年前より頭痛に対してサリドンを頓服していた.
平成12年6月肝機能検査異常の精査目的で入院.入院時,貧血・黄疸なく,発熱,発疹,皮膚掻痒感はみられなかった.白血球数は9400/μL,好酸球11.5%.T.Bil 0.5mg/dL,AST 116IU/L,AST 240IU/L,ALP 69.6 KA,γ-GTP 1679IU/L,LAP 252IU/L.肝炎ウイルスマーカーは陰性.抗核抗体,抗平滑筋抗体,抗ミトコンドリア抗体などの自己抗体陰性.
肝生検組織では,門脈域と肝実質内に軽度の炎症細胞浸潤と1小葉辺り3-5個の肉芽腫がみられた.入院後にサリドンの内服を中止したところ肝機能検査異常はすみやかに改善し,中止後60日目に肝機能検査は正常化した.DLSTでサリドンがS.I=292%と陽性,その各成分についてもDLSTを行ったところイソプロピルアンチピリンがS.I.=210%と陽性であった.
DDW-J2004薬物性肝障害診断基準では「可能性が高い」と診断された.
その後,約2年の経過で肝機能検査異常はみられていない.
長期間にわたり頓服薬を服用した後に肉芽腫形成を伴った薬物性肝障害をみることは稀であり,文献的考察を加えて報告する.
第18回日本アレルギー学会春季臨床大会 2006年5月開催