・一般演題
薬物アレルギー・薬剤性障害3
座長:高藤 繁(国際医療福祉大学附属熱海病院内科)
P31.ホスホマイシンが原因となった急性肝炎重症型の1例
川崎幸彦 松浦裕美 高野 恵 高橋亜依磯目正人 鈴木順造
福島県立医科大学 医学部 小児科
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[目的]ホスホマイシンが原因となった急性肝炎重症型(本症)の1例を経験した.
[症例]10歳男児.
[主訴]嘔吐,黄疸[現病歴]平成17年1月19日より嘔吐と下痢が出現し,近医を受診.ホスホマイシン(ブルーバシリン),ビオフェルミンを投薬されたが,症状は軽快せず,28日同医を再受診.その際,黄疸を指摘され,I病院を紹介され入院した.
入院後,肝機能障害とPT低下を指摘され,急性肝不全が疑われ当科紹介.[入院後経過]汎血球減少,肝機能障害,高ビリルビン血症,PT低下を認め,急性肝炎重症型と診断した.
血漿交換を施行し,プロスタンディン,プレドニンを併用したところ黄疸,肝機能や凝固異常は徐々に改善.血清学的検索では,肝炎ウイルスや自己免疫肝炎は否定的であった.
2月24日に施行した肝生検では,非特異的肝炎像の所見が得られ,薬剤リンパ球刺激試験でホスホマイシンが陽性であったことから,本症と診断した.
その後は,肝機能の増悪なく,外来にて経過観察となり第56病日退院した.[結論]ホスホマイシンが原因となった急性肝炎重症型の小児例は自験例が最初の報告例である.
小児期発症急性肝炎重症型の病因として,本症も鑑別診断の1つとして念頭におく必要性があると思われた.
第18回日本アレルギー学会春季臨床大会 2006年5月開催