・一般演題
薬物アレルギー・薬剤性障害2
座長:堀口高彦(藤田保健衛生大学坂文種徳会病院)
P29.TS-1による薬剤性肺障害3例の検討
平田信太郎1) 熊谷和彦2) 石川暢久1) 峠岡康幸1) 春田吉則1) 横山彰仁1) 河野修興1)
広島大学大学院 分子内科学1) 広島大学大学院 病態臨床検査医学2)
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TS-1は,テガフール・ギメラシル・オテラシルを含有する経口抗腫瘍薬で,我が国でのみ使用されている.抗腫瘍効果はテガフールから変換される5-FUに基づき,他二者による代謝調節により5-FUの抗腫瘍効果を損なうことなく毒性が軽減されると考えられている.
TS-1による薬剤性肺障害の報告は散見されるが,その病態は未だ不明な点が多い.最近我々はTS-1による薬剤性肺障害の3例を経験した.
全例男性で,原疾患は各々胃癌,膀胱癌,下咽頭癌であった.
年齢は55歳,75歳,65歳であった.
全例が発熱で発症し,うち2例でDLSTを行い2例とも陽性であった.
発症前のTS-1投与は各々4コース,2コース,1コース,血清KL-6は459,547,259U/mlであった.胸部CT所見は,いずれも散在性のスリガラス陰影を呈し,全例がTS-1中止,副腎皮質ステロイド投与で軽快した.
TS-1は既存の抗腫瘍薬に比べ毒性が軽微であることが多く,また経口薬のため好んで用いられるが,TS-1による薬剤性肺障害の知見は未だ乏しく,貴重な症例と考え報告する.
第18回日本アレルギー学会春季臨床大会 2006年5月開催