・一般演題
薬物アレルギー・薬剤性障害2
座長:堀口高彦(藤田保健衛生大学坂文種徳会病院)
P27.心不全の増悪を契機として発症したアミオダロンによる薬剤性肺臓炎の1例
原 麻恵1) 吉澤篤人1) 放生雅章1) 小林信之1) 工藤宏一郎2)
国立国際医療センター 呼吸器科1) 国際疾病センター2)
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症例は54歳,女性,肥大型心筋症にてアミオダロン200mg/日を2年,100mg/日を1.5年間内服.
心不全,両側胸水貯留を契機として約15日間の経過で両側多発結節影が出現.精査加療目的で入院.
入院時,体温36.9度.気道症状は認めなかった.
WBC 7.74×103/μl,CRP 3.5mg/dl,KL-6 1340u/ml,pH 7.36,PaCO2 30.2torr,PaO2 76torr(室内気)胸部CTにて両側性の多発斑状,結節状の陰影が認められた.気管支鏡検査での各種培養は陰性.TBLBでは,リンパ球,好酸球の浸潤を伴う胞隔炎と,肺胞内に類上皮肉芽腫が認められた.
BALは回収率84%で,細胞数65.8×104cells/μl.細胞分画(%):MΦ55.8,リンパ球23.6,好中球5.5,好酸球15.1であり,好酸球増加と異形リンパ球が認められた.
CD4/CD8は0.6と軽度低下を示しており,薬剤性肺臓炎として矛盾しない所見であった.
臨床経過,検査結果よりアミオダロンによる薬剤性肺臓炎と考え,薬剤を中止したところ陰影は明らかに改善した.ステロイドは使用しなかった.
本症例は,薬剤使用は少量であったが,心不全を契機として肺内の薬剤濃度が急激に変化し,肺臓炎に至ったのではないかと考えている.
第18回日本アレルギー学会春季臨床大会 2006年5月開催