・一般演題
薬物アレルギー2
座長:浅田秀夫(奈良県立医科大学皮膚科)
P5-2-4.栄養ドリンク剤による固定疹
久保田由美子
福岡山王病院皮膚科
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82歳の女性.10年前より降圧剤内服中.2008年2月頃,上肢に痛痒い水疱が出現.ステロイド内服,外用でやや改善するも背部,四肢に紅斑,水疱が多発.
水疱性類天疱瘡を疑われ,6月,当科紹介.左上腕紅斑の生検で,interface change,necrotic keratinocyteが多数みられ,固定薬疹と診断した.
当初,膀胱炎で時々内服していたレボフロキサシンが原因と考えたが,中止したにもかかわらず,色素沈着部に紅斑が再燃するため,食事日誌を開始した.
すると雑穀米と栄養ドリンクをそれぞれ3日間摂取したあとに,前回と同部位に痛痒い紅斑が出現したことが判明した.
1年後,栄養ドリンクと含有されるビタミン剤によるパッチテストを施行したところ,1週後にビタミンB1製剤のみが陽性であり,この部位は前回の皮疹部に一致した.栄養ドリンクとビタミンB1製剤のDLSTは陰性.
以上の結果より,ビタミンB1製剤であるフルスルチアミンによる固定疹と診断した.
ビタミンB1製剤による薬疹の報告は少ないが,ビタミンB1は栄養ドリンクやサプリメントには必ず含有されており,薬疹の原因になりうることを知っておくべきである.
第22回日本アレルギー学会春季臨床大会 2010年5月開催