・出典:日本東洋医学会
http://www.jsom.or.jp/universally/
・http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/er/pdf/940008.pdf
洋医学会 EBM 特別委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
代謝・内分泌疾患
文献
我妻恵, 本宮雅吉, 豊田隆謙. 清心蓮子飲による糖尿病治療の臨床試験成績. 日本東洋医学雑誌1994; 45: 339-44. CiNii
1. 目的
清心蓮子飲の耐糖能改善に対する有効性と安全性
2. 研究デザイン
ランダム化比較試験(封筒法) (RCT-envelope)
3. セッティング
大学病院と市中病院(4施設)
4. 参加者
インスリン非依存型糖尿病患者18名
5. 介入
Arm 1: ツムラ清心蓮子飲エキス顆粒群7.5g 3x 2週間。12名(男性8:女性4)
Arm 2: 非投与群 6名(全員男性)
糖尿病治療は原則開始時の薬剤のみ併用した。
6. 主なアウトカム評価項目
血液検査: HbA1, HbA1c、血糖日内変動週1回、空腹時血糖(1日おき) 、一般血液検査
重症度をHbA1で3段階、有効性を血糖値で5段階判定した。
自覚症状: 口渇、頻尿、上・下肢痛、上・下肢のしびれ、かすみ目、めまい・立ちくらみ、頭重、全身倦怠感
7. 主な結果
耐糖能はArm 1で改善4名、軽度改善4名、不変4名に対し、Arm 2は全例不変で有意差があった。
8. 結論
清心蓮子飲は耐糖能改善に対する有効性があり、安全性も高い。
9. 漢方的考察
なし
10. 論文中の安全性評価
清心蓮子飲群の全例で主治医・委員会判定で副作用はなかった。
ただし清心蓮子飲群の1名で投与前からあっためまい・立ちくらみと頭重感の増強を認めたが、清心蓮子飲との直接関連は不明であった。
また、総コレステロールと中性脂肪、BUNとクレアチニン軽度上昇を認めた症例がそれぞれ認められたが、清心蓮子飲との関連は不明であった。
11. Abstractorのコメント
この報告は清心蓮子飲が耐糖能改善に対する有効性があり、安全性も高いとの有意義な報告である。
しかし、問題点は投与期間が短いことや非投与群がすべて男性だったことを含め、糖尿病罹病歴、開始時の治療など、割り付けに偏りがあり評価の信頼性の検討の必要がある。
最近はメタボリック症候群をはじめ代謝異常の治療は注目されており、耐糖能改善の可能性のある清心蓮子飲の有効性の検討は今後も期待される。
12. Abstractor and date
並木隆雄 2008.12.29, 2010.1.6
runより:もしかすると化学物質過敏症の砂糖不耐性に効果あるかもしれないですね。